第21回医療セミナー「新専門医制度の現状と課題」
司会 | : | 田尻久雄 | 東京慈恵会医大・名誉教授 |
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下瀬川徹 | みやぎ県南中核病院 |
日本専門医機構が「中立的第三者認定機関」として,専門医の定義や認定制度などの統一を目指し,2014年5月7日に発足されてから,7年が過ぎようとしている.消化器系専門医としては,内科系,外科系を含めて複数の専門医がサブスペシャルティ(以下, サブ領域)専門医として認定されてきた.その背景には,消化器領域は他の診療領域と比して対象臓器,疾患数,患者数が最も多く,かつ診療手技も多岐にわたるために,1つのサブ領域専門医だけでカバーすることは困難であるという状況がある.これまでに消化器系専門医は,複数の基本領域にまたがるために,各基本領域に共通したコアの部分を担保した複数の研修カリキュラムの構築を検討してきた.一方, 2018年7月に専門研修に厚生労働大臣・都道府県知事の意見を反映させる医療法及び医師法の一部を改正する法律が公布され(医師法16条の8及び9), 医道審議会医師分科会医師専門研修部会が立ち上がり, 様々な提言がなされてきた. さらに2020年2月に「サブ領域の在り方に関するワーキンググループ」が設置され, ①国民にとってわかりやすいものか, ②地域医療体制に影響を及ぼさないか, ③医学の学問としての観点から妥当であるか, ④専攻医のキャリア形成において妥当かの4つの視点から検討が行われている. その後,専門医機構が提案する23領域の整理が行われ, 内科において消化器病, 消化器内視鏡, 肝臓については, 連動研修を行い得る領域に消化器内科(領域)として集約することが適当とされた. また, 消化器内視鏡および肝臓は, 少なくとも1つのサブ領域を修得した後に研修を行う領域とすることが適当と報告されたが, その後, 制度運用として補完研修方式としてサブ領域専門研修細則に示され, その実施について検討が重ねられている. 本セミナーでは,消化器系サブ領域の専門医研修の現状と課題について,専門医機構やJDDW関連学会よりご紹介いただいたうえで,我が国の消化器疾患診療の発展と均霑化への方向性についても,相互に議論して理解を深めたい.
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