会長挨拶

第18回日本肝臓学会大会
会長 福井 博
(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
会長:福井博

この度、第18回日本肝臓学会大会を2014年10月23日(木)、24日(金)の2日間、JDDW2014の一環として、神戸市で開催することとなりました。身に余る光栄であり、このような機会を与えていただきました日本肝臓学会会員並びに関係各位の皆様に心から感謝申し上げます。

今回の肝臓学会大会のテーマは「肝病態を究めて未来を拓く」といたしました。肝病態の研究は肝臓病学の要であり、患者さんにとっても専門医にとっても、明日の可能性を拓く源であると思うからです。近年の診断、治療の進歩はめざましく、多くの患者さんを完治に導けるようになりましたが、その一方で進行した病態、複雑な病態を前にして対応に苦慮することもしばしばです。ウイルス性肝疾患は制圧されつつありますが、日常の生活習慣に深く根ざすsteatohepatitis、これに基づく肝硬変、肝癌が克服すべき大きな課題となりつつあります。また高齢化に伴う他臓器合併症という問題も現実化しております。

JDDWでは構成学会が互いに連携して、主題の選定から討議に至るまで、さまざまな視点、切り口からアプローチできるというメリットがあり、学際領域や集学的治療を要する領域に光を当て、新たな可能性を探ることができます。今回から構成学会が一緒に企画する統合プログラムというセッションが設けられたのもその趣旨に沿ったもので、本学会は消化器外科学会とともに「肝移植後の諸問題」、「転移性肝癌の治療選択」というテーマを提案させていただきました。他学会の方々とも熱い議論を重ねていただけたら幸いです。

今回は、国際セッションを充実させるという方針に沿って「Mechanism of hepatic and pancreatic fibrosis: Clinical implication」、「Stem cells in liver regeneration and therapy: Present and future scope」という2つの英語のシンポジウムを予定しました。この分野の世界的リーダーであるSnorri S. Thorgeirsson博士、Scott L. Friedman博士をお招きしてそれぞれ基調講演をお願いすることとしましたが、内外の多くの研究者からの意欲的な発表と活発な討論を期待いたしております。

「肝癌の予防・制御をめざすB型肝炎の治療戦略」、「C型肝炎治療の新展開と到達点」、「進行肝細胞癌の集学的治療:予後とQOLの観点から」という3つの主題セッションでは、現在、問題となっている診療上の重要な問題点を論じていただき、「生活習慣と肝病態の変遷:明日の肝臓病診療に向けて」、「NAFLD/NASHの病態解析と新規治療」という2つの主題セッションでは肝臓病学の今後の大きな潮流を考えていただきます。また、診断面では「明日の肝癌診療のためのバイオマーカーの探索」、「画像診断を駆使した肝疾患治療の最前線」という主題を用意しました。「肝硬変合併症の新しい治療戦略」、「腸肝相関からみた肝病態と治療の展開」、「急性肝不全:予後向上を目指す新規治療法の展望」の3主題では肝病態を他臓器との関連でも深く捉えていただけるのではないかと存じます。その他、「自己免疫性肝胆疾患:病態解析と治療の工夫」、「高齢者肝疾患の最適医療:個別化医療の工夫」という2つの主題を加えました。ここでも病態の本質を究める一方で、疾患の多様性を認識し、個々の患者さんに適した個別化医療を探っていけたらと存じます。

JDDW全体としての制約もありますが、多くの貴重なご意見を主題に反映できるように努めました。なお、今回からは一般演題もすべてデジタル発表となります。興味を持って集まる聴衆の前でスライドを使って講演していただけますので、明日の肝臓病学を拓くような、そしてまた新しい主題に発展していくような演題を多数ご応募いただけましたらこれに優る喜びはございません。

最後に、神戸から奈良は交通も便利で、1時間ほどの距離です。この機会に古都奈良にもお立ち寄りいただけたらと存じます。お待ち申し上げております。

前ページに戻る  このページのトップへ

お問い合せ先JDDW事務局 〒104-0061 東京都中央区銀座8-9-13 K-18ビル9F TEL: 03-3573-1254 FAX: 03-3573-2198
E-mail: endai2014@jddw.jp(演題に関する内容)  E-mail: kobe2014@jddw.jp(学会に関する内容)