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メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
11月3日(金)  9:00 - 12:00   第13会場:神戸国際会議場 国際会議室
MS1-9指
リハビリテーション治療が肝細胞癌患者のフレイルと予後におよぼす影響
神谷 俊次1, 川口 巧2, 松瀬 博夫1
1久留米大病院・リハビリテーション部, 2久留米大・消化器内科
【目的】サルコペニアやフレイルは肝疾患患者の予後やquality of lifeに関わる.これまでに,我々はがんリハビリテーション (CR)が肝細胞癌 (HCC)患者のサルコペニアを改善させることを報告してきた.本研究の目的は,CRがHCC患者のフレイルや予後におよぼす影響を検討することである.【方法】方法1) HCC患者181名(年齢 77歳,女/男 74/107,BMI 23.2)を対象とし,HCC患者をCR群 (n=114)と対照群 (n=67)に群分けした.CR群は入院中に有酸素運動とレジスタンス運動の複合運動 (20-40分/日)を行った.フレイルはliver frailty index (LFI)により評価し,入院期間中のLFI変化(ΔLFI)を両群間で比較検討した.さらにLFI改善に関連する要因を多変量解析と決定木解析にて検討した.方法2) 経カテーテル動脈化学塞栓術を受けた 152 人の HCC 患者(年齢 75歳,女/男 54/98,BMI 22.5)を対象とした.患者をCR群 (n=85) および対照群 (n=67) に群分けし,生存に関連する独立した要因をCox 回帰分析によって評価した.さらに2群を傾向スコアマッチングした後,CR群と対照群の生存率をカプラン・マイヤー分析にて比較検討した.【成績】成績1) ΔLFIはCR群で有意に改善した (-0.17 vs. -0.02 , P=0.0119).多変量解析では,CR (オッズ比 2.38, 95%信頼区間 1.240-4.570, P=0.0091)および女性 (オッズ比 2.09; 95%信頼区間 1.062-4.109, P=0.0328)がLFI改善の独立因子であった.決定木分析では,CRはLFIの改善に関連する第1分岐因子であった.成績2) Cox 回帰分析では,生存に関連する独立因子は CR および Child-Pugh class A であった.CR群の生存期間は,対照群よりも有意に延長していた (中央値 529日 vs. 369日, P=0.0332).【結論】リハビリテーション治療はHCC患者のフレイルを改善するとともに,HCC患者の予後改善にも寄与しうることが明らかとなった.リハビリテーション治療継続のため,今後は病病連携・病診連携に取り組む必要がある.
索引用語 1:リハビリテーション治療
索引用語 2:フレイル
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