デジタルポスターセッション消019(消化器病学会)
10月27日 16:04–16:34 第15会場(マリンメッセ福岡 アリーナ デジタルポスター会場)
消P-100
診断時に腫瘤を形成した膵癌の59%は,膵管拡張を伴わない腫瘤から発病する
福島 大造1
共同演者:西野 徳之1, 濱田 晃市1, 堀川 宜範1, 志波 慶樹1, 鉄川原 香恵1, 永橋 尭之1
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- 総合南東北病院・消化器センター
目的:発病初期の膵癌が膵管拡張を伴う頻度を検討対象と方法:2009-2018年に当院で診断治療を行った腫瘤形成した膵癌616例(うち膵管拡張あり416例(67%))のうち,診断前の過去に何らかの理由でCTあるいはMRI画像(以下診断前画像)が施行された145例中,腫瘤を認めていた86例で膵管拡張を伴う頻度を検証.結果:患者は年齢中央値76(41-91)才,男性は60例(70%).診断前画像の検査理由は悪性腫瘍術後25例(胃癌9例,肺癌5例,大腸癌3例,食道癌1例,前立腺癌3例,膀胱癌2例,腎癌2例),IPMN術後1例,胃癌術前2例,膵腫瘍疑い9例,肝腫瘍疑い1例,総胆管結石2例,腹痛9例,PET健診9例,透析2例,間質性肺炎3例,ドック肺CT8例,心臓大血管MDCT10例で,胸部を主目的としたCTは21例(非造影21例,造影7例).非造影CTが64例に施行され,62例(97%)で腫瘤を指摘でき,造影CTが37例に施行され,37例(100%)で腫瘤を指摘できた.診断前画像における腫瘤サイズ中央値は18(6-54)mm,腫瘤指摘から膵癌の診断に至るまで10(1-81)か月であった.膵癌診断時の腫瘤サイズ中央値は30(13-90)mm,Stage別の症例数はI (11例),II (23例),III (13例),IV (39例).膵癌診断時の所見では膵管拡張伴う腫瘤は60例(70%)であったが,診断前画像においては,膵管拡張伴う腫瘤は35例(41%)で,51例(59%)には膵管拡張を認めなかった.診断前画像において腫瘤は,膵頭部41%(18/43),膵体部67%(19/28),膵尾部93%(14/15)は膵管拡張を伴わなかった.結語:膵癌の診断時に膵管拡張は診断初期の画像所見として重要であるが,発病初期には40%程度の頻度しか伴わず,むしろ腫瘤の指摘の方が重要である.今回の検討では非造影CTでも97%で腫瘤を指摘できており,腫瘤を意識した読影で膵癌の早期診断が可能になる可能性がある.当日は画像も供覧する.