メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
10月28日 9:00–12:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS1-4指

COVID-19患者に対する在宅医療提供の実際

宮本 雄気1,2
1
京都府立医大大学院・救急・災害医療システム学
2
よしき往診クリニック
COVID-19が流行して2年間の間,行政は様々な療養先の選択肢を提示した.しかし日常生活動作(ADL)や認知機能の低下した高齢者や基礎疾患を有する患者は,ホテル療養や臨時医療施設での療養は困難であることが多い.また現実的には安全管理上の問題で入院すら困難なケースもある.このような理由で,ADLや認知機能が低下した患者においては,病床逼迫時に自宅療養を余儀なくされるケースが多く見られた.しかし認知機能や聴力などの問題から保健所の健康観察やオンライン診療だけでは病状の悪化に気付くことが困難なことも多く,結果として自宅療養中に死亡してしまうことがあった.演者の勤務する地域でも,2020年冬におけるCOVID-19の流行(いわゆる第3波)において自宅療養中の死亡者が複数報告された.この反省を活かし,2021年2月よりCOVID-19患者に対するHospital at home(HaH)提供チームを全国に先駆けて結成した.HaHとは在宅医療の一種であり,医療者が患者の自宅に訪問し,急性期病院と同等のレベルの医療を提供することで,入院の回避や病院からの早期退院を行う医療モデルのことを指す.この概念は本邦においてまだ十分に浸透していないが,すでに諸外国では種々の急性期疾患に対しランダム化比較試験やメタアナリシスが複数行われ,その有効性が示されている.またCOVID-19患者においても諸外国でHospital at homeは実施され,良好な成績を示している.本発表では当チームのCOVID-19におけるHaHの実績を紹介しつつ,HaHの注意点や他地域で実践する際の注意点などについて概説する.
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