メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月29日 14:00–17:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS2-4指

高齢者医療における消化器がん周術期のリハビリテーション医療

中村 健
横浜市立大・リハビリテーション科
大学病院など急性期病院では,消化器がん患者に対し根治治療として高侵襲手術を実施している.特に食道癌や肝胆膵癌に対する手術は侵襲も高く,手術自体が身体へ及ぼす影響も大きい.この様な高侵襲手術では,手術自体による影響に加え,全身麻酔,人工呼吸器管理,術前術後の食事制限など様々な要因によって,術後に体力や筋力の低下,肺炎などの合併症を起こしやすい.また,消化器がん患者の場合,待機手術が多く術前検査や場合によっては術前化学療法があり,精神的なストレスなども加わり活動性が低下する事が多く,術前に体力や筋力が低下する事もある.さらに,近年では手術対象者の高齢化が進んでおり,サルコペニアやフレイルなどの合併症を持った患者も多く,術後合併症や身体機能低下のリスクも高くなっている.つまり,高齢者では特に,術前に日常生活が自立していても,術後に寝たきりとなり生活復帰が困難となる可能性もある.このため,高侵襲手術を伴う消化器がん患者には,術後合併症の予防と身体機能低下の予防と改善を目的とした運動療法を中心とした周術期リハビリテーション治療が必要となる.具体的には,術前からの運動療法が重要であり,術前の活動性を落とさないだけでなく術前に体力と筋力を高めておく事が重要となる.さらに,術直後から離床,運動負荷を開始する事により合併症予防,身体機能改善,早期在宅復帰が可能となる.ただし,高侵襲手術を伴う周術期患者に術後早期離床や運動負荷を中心としたリハビリテーション治療を実施するためには,術後の医学管理を含め多職種が連携して取組む必要がある.本学附属病院では,術後ICU管理が必要な高侵襲手術患者に対し適切な周術期リハビリテーション治療を行うために,主科医師,麻酔科医師,ICU医師,看護師,セラピスト,リハビリテーション科医が連携した周術期リハビリテーション管理システムを構築し取組んでいる.本学附属病院の取組も含めて,消化器がん周術期のリハビリテーション医療について述べる.
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