メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月29日 14:00–17:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS2-6指

在宅医療で身に付けるべき栄養の知識と食の支援

奥村 圭子
長野県立大大学院・健康栄養科学研究科
消化器病の栄養や食事療法の専門的栄養ケアによる体重減少や特定の栄養素の制限や補給は治療の効果を高める.例えば,NAFDL/NASHの主要因は肥満であり特に2型糖尿病との関連や患者の体重減少5%でQOLを改善させ,7%で組織的にも改善させると言われている.また,IBDの原因は不明な点が多いが,潰瘍性大腸炎(UD)と砂糖やイソフラボンの過剰摂取と発症の関連やビタミンCと発症との負の関係やや喫煙とクローン病(CD)など栄養に関連する報告が散見する.さらに,胃切など術後やがんなど外科的消化器治療の後遺症は下痢,便秘,逆流,嚥下困難,腹痛(慢性腹痛と反復性腹痛も参照),食欲不振,吐き気,イレウス,胸痛や背部痛などが消化器に影響し食べられない二次性疾患の可能性もある.特に高齢者の場合は,入院中にせん妄や認知症,サルコペニアや摂食嚥下障害等の老年症候群が併発しやすい.このように消化器病の治療入院で回復したとしても,食事が摂取出来ない場合は,時にポートや胃瘻などデバイスを必要とする食の支援も想定する必要がある.このような副次的に栄養や食の課題を抱えたままの退院は悪化し入退院を繰り返すことになる.本人や家族のセルフケアだけの在宅療養生活の継続は困難である.そのため在宅医療では,消化器病治療を主に行う医師を中心に在宅医療のなかでの再発や課題の評価に基づき,実現可能な栄養や食の支援方法も検討する必要がある.今回,消化器疾患の管理栄養士による訪問栄養の症例を通じ,地域包括ケアシステムにおける在宅医療に必要な栄養や食の支援を解説したい.
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