メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
10月28日 9:00–12:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS1-3指

医療機関でのクラスター対応

具 芳明
東京医歯大大学院・統合臨床感染症学
COVID-19パンデミックに伴い,多くの医療機関でクラスターが発生した.いかに対策をとっていても医療機関の種類や規模に関わらずクラスターは発生しうる.しかし,対策をとっていなければ院内クラスターは容易に大きなものとなってしまう.
COVID-19の院内感染対策として,院内でのSARS-CoV-2の感染伝播を防ぐための方策,すなわちSARS-CoV-2の侵入機会を減らし(患者,見舞い客,医療スタッフなどによる持ち込みを防ぐ),院内での感染者増加の速度を抑え(適切な感染予防策を行う),感染者を早期発見する(早期に疑い検査につなげる)ことが重要である.さらに,院内での感染発生を防ぎつつ発生時には素早く対応できるよう日頃から感染対策のレベル向上を図る必要がある.その中には,何らかの症状がある職員は軽症であっても休むことができ,相談しやすい職場環境づくりも含まれる.
院内でのクラスター発生時には,いち早く対策チームを立ち上げて情報整理や情報伝達ルートの確認を行うとともに,COVID-19患者や濃厚接触者の把握と隔離予防策の開始,ゾーニングの設定,感染経路別予防策の徹底など,各種の対策を素早く行う必要がある.感染管理を指導するスタッフが業務に集中できるよう配慮したり,PPEなど必要物品を確保したりすることも重要である.このように,クラスター対策は院内感染対策の担当者だけでなく病院全体で取り組むべき状況であり,その医療機関が日頃から培ってきた総合力が問われるのである.
ページトップへ