メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月29日 14:00–17:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS2-3

コロナ禍での終末期消化器がん患者に対する在宅医療~在宅専門診療所における検討~

飯田 智哉1
共同演者:門脇 睦子2, 山崎 なな3
1
札幌在宅クリニックそよ風
2
訪問看護ステーションそよ風
3
居宅介護支援事業所そよ風
【目的】コロナ禍による病院での面会制限などから在宅医療のニーズが高まっており,終末期を自宅で過ごす患者が増えている.在宅専門診療所におけるコロナ禍での終末期消化器がん患者に対する在宅緩和医療の現状について検討することを,本研究の目的とした.
【方法】対象は2020年4月から2021年12月の間に当診療所で訪問診療を行った居宅終末期がん患者151名のうち,消化器がん患者80名.患者背景,サービス内容,治療内容,転帰などについては,電子カルテからデータを抽出し後方視的に検討した.在宅看取りに至った遺族に対してはアンケ―ト調査を行い,在宅看取り満足度などについて検討した.
【結果】80名の平均年齢は73.8歳,原発巣は消化管が32名(40%),肝胆膵が48名(60%)であった.入院先から在宅療養に移行したのは45名(56%)で,本人や病院,在宅関係者と退院前カンファレンスを施行したのは32名(32/45:71%)であり,うち28名(28/32:88%)はオンラインで行われていた.主介護者は配偶者が31名(39%),子が42名(53%)で,訪問看護が全例(100%)に,訪問介護が10名(13%)に,訪問薬剤管理指導が68例(85%)に導入されていた.医療用麻薬は72名(90%)に使用されており,貼付剤は54名(68%)に,PCA機能を有した携帯型精密輸液ポンプを用いた持続静注/皮下注法が15名(19%)に用いられていた.68名(85%)が在宅看取りに至り,病院に再入院となった理由としては,当初からの患者/家族の予定,ADL低下に伴う介護負担の増強,急な意識障害や呼吸苦/疼痛の出現,急性腹症などが挙げられた.遺族アンケート調査結果では,在宅療養を選択した理由は病院での面会制限が95%と多く,在宅看取り満足度は99%と高値であった.
【結論】コロナ禍での病院の面会制限などから在宅医療を選択した/選択せざるを得なかった患者や家族に対して満足度の高い在宅緩和医療を提供するためには,病院医療との連携,在宅医療における多職種協働が必要不可欠である.当日は実際の事例を複数交え,文献的考察を加えて報告する.
ページトップへ