デジタルポスターセッション消039(消化器病学会)
10月28日 10:34–11:04 第15会場(マリンメッセ福岡 アリーナ デジタルポスター会場)
消P-197

当院における大腸憩室出血に対するEndoscopic Band Ligation(EBL)の現状

草津 工喜1
共同演者:相馬 颯介1, 野口 春菜1, 和田 蔵人1, 林 友和1, 福地 聡士1, 村上 和成2
1
アルメイダ病院・消化器科
2
大分大附属病院・消化器内科
【背景と方法】大腸憩室出血に対する内視鏡止血術として近年EBLが行われるようになってきている.EBLは2000年にWitteによって報告され,本邦では2011年から報告例が散見されている.EBLは再出血率の低さなど既存治療からの治療成績向上が報告されているが,スコープの再挿入が必要であり処置時間の延長の可能性があり,合併症の発生など安全性についての検討が必要である.今回,2017年1月から2021年12月までに当院で大腸憩室出血と診断された157例を対象とし,その臨床的特徴について後方視的に検討を行った.【結果】平均年齢は72.8歳(38-103),男女比は2.2:1であった.157例中出血点が判明したのは,75例であった.75例中内視鏡的に止血術を行ったのは73例であり,EBL50例でクリップ23例であった.再出血はEBL13例,クリップ7例で認められ,再出血率はEBL26%でクリップは30.4%であった.処置時間はEBL46.5分(5-123),クリップ50.5分(13-102)であり,いずれの方法においても合併症は認めなかった.また内視鏡検査前にCT検査を行い活動性出血を示唆する所見を認めたものは48例あり,48例中内視鏡的に出血点を同定できたのは35例,同定できなかったものが13例であった.【考察】当院におけるEBLとクリップの再出血率に有意差は認めなかった.(p=0.693)しかしながら,当院でEBL開始された2018年5月以降の止血法がEBL50例に対しクリップ12例でありEBLが多く行われている傾向が見受けられる.止血法選択の偏りが結果に影響した可能性は否定できないと考えられる.EBLとクリップで処置時間や合併症などに差は認めておらずEBLによる処置時間延長や合併症の増加は認めておらずその安全性に問題はないと考える.
ページトップへ