デジタルポスターセッション消078(消化器病学会)
10月29日 9:30–10:00 第15会場(マリンメッセ福岡 アリーナ デジタルポスター会場)
消P-404
表在性非乳頭部十二指腸腺癌における術前深達度診断に関する検討
森田 祐規1
共同演者:吉水 祥一1, 渡海 義隆1, 並河 健1, 堀内 裕介1, 石山 晃世志1, 由雄 敏之1, 平澤 俊明1, 高松 学2, 藤崎 順子1
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- がん研有明病院・消化器内科
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- がん研有明病院・病理部
【目的】表在性非乳頭部十二指腸腺癌(SNADAC)のうち,粘膜内癌(M癌)はリンパ節転移を認めないとの報告が多く局所切除が選択されている.一方,粘膜下層浸潤癌(SM癌)はリンパ節転移をきたすことが知られており,周辺リンパ節郭清を伴う術式が適応とされている.臨床病期により治療法が異なるため術前深達度診断が重要であるが,M癌とSM癌を鑑別するための診断基準は確立されていない. 【方法】2012年4月~2021年12月に治療を行ったSNADAC 198病変(M癌181,SM癌17)を対象として,以下の検討を行った.(検討1) 全198病変を対象とし,臨床病理学的所見の比較により,深達度診断に有用な所見の分析を行った.(検討2) 通常内視鏡に加えて超音波内視鏡(EUS)による深達度診断を行った81病変(M癌71,SM癌10)を対象とし,EUS診断の上乗せ効果について分析を行った. 【成績】(検討1) SM癌はM癌と比較すると,病変部位が主乳頭口側である割合は,SM癌:M癌=88%:46%とSM癌で有意に多く(P=0.001),肉眼型が複合型(0-IIa+IIc,0-IIc+IIa,0-IIa+Is)である病変は,SM癌:M癌=47%:20%とSM癌で有意に多かった(P<0.001).一方,腫瘍径,色調,White Opaque Substance分布には差がなかった.切除後の病理組織診断における組織学的分化度は,M癌は全病変が高分化であったが,SM癌は47%が中~低分化であった.術前生検は89%で実施され,中~低分化腺癌と診断された8病変はいずれもSM癌であった.(検討2) M癌の深達度診断正診率は,通常内視鏡:EUS=90%:86%,SM癌の深達度診断正診率は,通常内視鏡:EUS=70%:70%であり,EUSによる正診率の向上は見られなかった.【結論】SNADACの深達度診断では,内視鏡診断による病変部位と肉眼型の評価が重要であり,術前生検による組織学的分化度の評価が診断の一助となる可能性が示唆された.一方,本検討ではEUS診断の上乗せ効果は認められなかった.