デジタルポスターセッション外37(消化器外科学会)
11月5日 14:48–15:24 第16会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
外P-244

ICG-Kremを考慮した高齢者に対する胆道再建を伴う拡大肝切除時のリスク回避のための新規基準

久保木 知1
共同演者:古川 勝規1, 高屋敷 吏1, 高野 重紹1, 鈴木 大亮1, 酒井 望1, 細川 勇1, 大塚 将之1
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千葉大大学院・臓器制御外科学
【背景】我々は最近,高齢胆道癌患者では胆道再建を伴う拡大肝切除時の重症合併症リスクが非高齢者よりも高いこと,高齢患者では残肝率を45%以上に設定することで重症合併症リスクを軽減できることを報告した (Ann Surg 2018).しかし,肝機能も考慮した高齢胆道癌患者に対する手術基準は未だ不明である.【目的】胆道再建を伴う拡大肝切除に伴う加齢リスク回避のためのICG-Krem を用いた新規手術適応基準を検討.【対象】胆道再建を伴う拡大肝切除術を施行した胆道癌患者317例.Clavien-Dindo grade IV以上を重症合併所と定義.【結果】ROC解析にて,ICG-K高値,%FLV低値,ICG-Krem低値は重症合併症の有意なリスク因子であったが,ICG-KremのAUCが0.7と一番高く,多変量解析にて年齢≧69歳と並んでICG-Krem≦0.065は重症合併症発症の独立したリスク因子であった.年齢に応じたICG-Kremのカットオフ値を評価すると,68歳以下の非高齢群ではICG-Kremのカットオフ値は0.050であり,ICG-Kremが≦0.050,0.050-0.065,≧0.065の時の重症合併症発症率はそれぞれ57.1%,9.5%,8.6%であり,ICG-Krem値を0.050以上に設定することで重症合併症を回避できると考えられた.一方,69歳以上の高齢者におけるICG-Kremのカットオフ値は0.065であり,ICG-Kremが≦0.050,0.050-0.065,≧0.065の時の重症合併症発症率はそれぞれ43.5%,29.6%,9.3%のため,高齢者では術後重症合併症回避のためにはICG-Krem値を非高齢者より高めの0.065以上に設定する必要があると考えられた.その原因として高齢群では非高齢群よりも,またICG-K高値群では低値群よりも,肝切除後の肝再生が抑制されることが考えられた.しかし年齢やICG-K値は門脈塞栓術後の肝再生には影響を及ぼさなかった.【考察】高齢胆道癌患者では術後重症合併症発症率が上昇するが,非高齢者と比較してICG-Krem値を高めに設定することで周術期リスクを軽減させることが出来る.
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