デジタルポスターセッション内10(消化器内視鏡学会)
11月4日 15:11–15:46 第16会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
内P-51
再燃が疑われる潰瘍性大腸炎に対する簡易的な緊急大腸内視鏡検査の有用性
福知 工1
共同演者:杉山 浩平1, 宇都宮 蘭1, 古賀 英彬1
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- 医誠会病院・消化器内科
【目的】潰瘍性大腸炎(以UC)の病状把握には低侵襲な便中カルプロテクチンなどが有用とされているが病変範囲や炎症の程度の評価は困難である.特に局所製剤を検討する場合などは病変範囲の把握が効果推測に役立つ.UCの詳細な病状把握には大腸内視鏡検査(以下CS)が有用であるがポリエチレングリコール(以PEG)やCSの刺激が増悪因子となりうる.我々は再燃が疑われるUC患者が受診の際は前処置をグリセリン浣腸(以下GE)のみ上部用scopeで簡易的にCSを行っており(簡易的CS),PEG使用の通常のCSを比較し簡易的CSがUCの病状把握と治療強化に役立つかを検討した. 【方法】2019.1.1~12.31に活動期が疑われGE120mlのみを前処置としオリンパス社製GIF-HQ290○R,GIF-Q260○Rで簡易的CSを行ったUC45例(簡易群)と,PEG使用の上オリンパス社製CF-Q260AI○R,CF-H260AI○R,CF-HQ290ZI○R,PCF-260L○Rで通常のCSを行った寛解期UC173例(通常群)を対象とした.同一医師により可能な限り近位大腸に挿入観察し最深部と直腸部のBoston bowel preparation score (BBPS) による腸管洗浄度,最深到達部位,平均検査時間,近位炎症確認率,Mayo内視鏡スコア判定率,治療強化率を比較した. 【成績】各因子は(簡易群:通常群)で最深部BBPS(0.7±0.2:2.3±0.1 p<0.001),直腸部BBPS(2.0±0.1:2.7±0.1 p<0.001),最深到達部位(上行結腸/横行結腸/下行結腸)(21/22/1:173/0/0 p<0.001)と簡易群で有意に洗浄度が悪く上行結腸に到達し得なかった.しかし,挿入時間(3.0±0.2:7.1±0.9分 p<0.001),観察時間(3.3±0.3:5.2±0.2分 p<0.001),検査時間(6.3±0.3:12.3±0.8分 p<0.001)と簡易群で有意に短時間であり,近位炎症確認率(95.6:100 % p=0.123),Mayo内視鏡スコア判定率(100:100 %)と有意差はなく治療強化率(100:2.3 % p<0.001であった.【結論】UC再燃に対する簡易的な緊急CSは通常に比して条件は悪いが炎症の範囲程度の評価には十分であり治療強化に役立つ.
- 索引用語1:潰瘍性大腸炎再燃
- 索引用語2:上部用スコープ