デジタルポスターセッション消1(消化器病学会)
11月4日 14:00–14:36 第15会場(神戸国際展示場1号館 デジタルポスター会場)
消P-4

Ultra-short segment Barrett esophagusの発癌率に関する後ろ向き研究 若手奨励賞

福田 翔1
共同演者:吉田 樹1, 渡邊 健太1, 松橋 保1, 飯島 克則1
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秋田大・消化器内科
【目的】近年,欧米および本邦においてバレット食道腺癌の増加が認められる.バレット食道は腺癌の発生母地と考えられ,欧米においては定期的な内視鏡検査が推奨されている.しかし,短いバレット食道の多い本邦でのバレット食道の発がん率は不明である.そこで,本研究では,健診内視鏡のデータを後ろ向きに解析し,バレット食道の長さごとの発がん率を明らかにすることを目的とした.【方法】2014年1月から12月において,秋田県の5つの健診施設でスクリーニング上部内視鏡検査を施行した症例を対象とした.2014年1月から2020年12月までを観察期間とし,この期間のバレット食道腺癌発生を調べた.バレット食道をUSSBE(バレット長<1cm),SSBE(≧1cm,<3cm),LSBE(≧3cm)の3群に分類し検討した.【成績】症例は9815例で,そのうち,9121例が追跡可能であった.追跡可能例における平均年齢は54歳(SD:±9.9),男性59.4%,期間内の内視鏡回数中央値4回(IQR:3-5),観察期間中央値は59か月(IQR:47-69)であった.バレット食道は4190例に認められた.USSBE 3531例(36%),SSBE 646例(6.6%),LSBE 13例(0.1%)であった.観察期間中に認められたバレット食道腺癌は2例で,1例はUSSBEから,1例はSSBEからの発生であった.USSBEからの年間発生率は0.0068%,SSBEからの年間発生率は0.036%であった.【結論】本邦のバレット食道の大部分を占めるUSSBEからの発癌は極めて稀で,USSBEに対してのサーベイランス内視鏡の必要性は乏しい.
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