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メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
11月23日(土) 9:00~12:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室
MS1-1
在宅緩和医療に移行した肝癌患者へのNSTの栄養介入について
佐々木 麻友1, 長崎 太2
1仙台市立病院・栄養管理科, 2仙台市立病院・消化器内科
【目的】当院の肝疾患治療は専門医が幅広く高度な医療を行っており,低栄養を伴う症例にはNSTが積極的に介入している.重症例や進行例が多いが,多職種連携の下,積極的治療から緩和医療への移行にも対応し,退院支援・調整が行われる.今回,在宅医療に移行した進行肝癌症例への入院中のNST栄養介入の取り組みについて報告する.
【症例1】73歳女性.肝癌にTACEを4回施行.以降の積極的治療の希望なく外来で緩和治療導入.呼吸苦,下腿浮腫,腹部膨満感症状にて入院,経口摂取不良に対してNST介入.栄養評価と必要栄養量の算出,患者の嗜好を考慮した食事対応を随時行い,次第に食事摂取量は安定.栄養補給法は経口摂取のみで自宅退院.【症例2】65歳男性.肝癌・アルコール性肝硬変にて通院中であったが自己中断.腹部膨満,呼吸苦,食事摂取困難にて2年ぶりに外来受診,緩和医療導入目的に入院.同時にNST依頼,栄養介入を開始.栄養状態の評価,必要栄養量を算出,食事個別対応,BCAAの肝不全用栄養剤への変更,味覚異常と胃腸症状に亜鉛製剤投与を提案.NST介入によりアルブミンは維持,血清亜鉛濃度の上昇,味覚異常の改善も認め,経口摂取の維持ができた.在宅医療が可能な状態となり自宅退院.【症例3】85歳女性.肝癌にTACEを3回施行.その後の抗癌剤は奏功せず,全身状態悪化にて入院,同時にNST依頼,栄養介入開始.栄養評価と必要栄養量の算出,食事個別対応,午前中の倦怠感の訴えに対しLES食を提案導入.NST介入後,経口摂取量は安定し必要栄養量も充足しアルブミンの低下なく経過.症状の改善あり在宅医療導入.
【結果】3症例とも進行肝癌かつサルコペニア前段階で低栄養状態を伴っていたが,医師の早期のNST依頼,NSTによるサルコペニアを含む栄養評価と継続した栄養介入の結果,栄養状態改善と経口摂取を維持することが可能となり,経口摂取維持は患者のQOLを保った在宅医療の展開に大きく寄与した.
【考察】入院中のNST介入は,在宅医療導入に対する多職種連携において重要な役割を担うと考えた.
索引用語 1:NST
索引用語 2:栄養評価
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