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メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
11月3日(土) 9:00~12:00 第11会場:ポートピアホテル南館 トパーズ
MS1-1
高齢者の食事療法
浮田 千絵里
東京女子医大病院・栄養管理部
メタボリックシンドロームの働き盛りの30-50代に対し,「栄養バランスを保ち適正量を摂取しましょう」と栄養指導を行うと痩せることが目的となり「食べ過ぎには注意してください!」が優先され食事の内容がおざなりになることがないだろうか.栄養指導を受けても仕事が忙しく実践には至らなかったが,定年退職を迎えると今度こそは生活改善に取り組もうと意気込む.過去に受けた栄養指導を振り返り,食べないことこそが美徳となり,野菜中心の食事を実践する.痩せていくことが嬉しく極端なダイエットに拍車がかかる.タンパク質・脂質摂取が減った結果,低栄養に陥ることが珍しくない.
専業主婦の多くが夕食は家族のために手の込んだ料理が作るが,一人で食べる昼食はご飯に残ったおかず少々,菓子パン,めん類など炭水化物中心になることが多い.夫が定年退職を迎えると朝昼夕食の1日3食を作るのは大変と根をあげ,夫ともに1日2食,昼食は炭水化物中心,夕食も中食の利用などで塩分が多く栄養バランスを崩しがちになる.
高齢者の低栄養の予防は,過去に得た情報をもとに食事改善に取り組むようでは,その年代に合わない食事療法になることもある.栄養アセスメントは特別なものではなく,「体重は減ったのにお腹がだけはなかなか痩せない」「風邪がなかなか治らない」「家族に先立たれた」など何がしかの日常の変化から食生活にも影響があることが心配される.これらの情報を医療スタッフ間で共有できれば管理栄養士が早期から介入することができる.病気に対しての栄養指導のみならず予防的介入こそ必要になると思われる.
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