JDDW 2017 Close
メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
10月14日 (土)  9:00 - 12:00   第7会場:福岡国際会議場 409+410
MS1-3指
ICUに入室した外科患者に対する栄養管理の課題
川畑 亜加里
聖マリアンナ医大横浜市西部病院・看護部
急性・重症で複雑な病態を示す患者は侵襲に対する免疫応答の結果,異化が亢進し栄養障害に陥りやすい.また,ICU入室患者が栄養障害を合併した場合,罹患率,死亡率,感染性合併症が増加することが明らかになっている.これらのことから,ICU入室患者に対する栄養療法は生命予後を左右する重要な因子だといえよう.当院は3次救命救急センター,周産期センターを有する,518床の横浜市西部地区の中核病院である.救命救急センターは,ICU10床,HCU30床と救命救急外来を一括しており,手術後,状態変化し重症管理が必要となった場合,緊急入院等の対応をしている.消化器一般外科の手術後ICU入室はなく,緊急搬入後手術を要する場合に入室する.手術は消化器・一般外科の医師が担当し,その後の管理は集中治療医を中心としたチームで全身管理を行っている.今回,当院ICUに入室した外科患者の栄養療法について後ろ向きに調査した結果,課題が明らかになったので報告する.平成28年度の年間救命救急センター入院患者1663名のうち消化器一般外科の入室患者は38名(2.28%),平均年齢77.7±9.36歳,平均在室日数は4.2±5.08日であった.緊急手術を要したケースは14件(36.5%)で,手術の有無に限らず17件(50.0%)は入室翌日に消化器外科病棟に転棟していた.1週間以上ICUに入室した症例は4件(10.5%)のうち1週間後に必要量を充足した患者は1件(2.6%)のみであった.そのほかの3件(7.8%)は,熱量・蛋白量ともに必要量の50%未満の投与であり,世界栄養調査の結果と同様の課題が浮き彫りになった.ICU入室患者に対する栄養投与では,生体侵襲による内因性エネルギーを考慮した適正なエネルギー量を投与することが推奨されているが,Under Feedingになりすぎないように注意が必要である.以上より,ICUにおける栄養管理において,NSTによる適切な栄養評価,個別性をふまえた栄養プランをもとに多職種協働チームで患者の術後回復を支持することが重要であると考える.
索引用語 1:NST
索引用語 2:ICU
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