ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会)
11月4日(金) 14:00–17:00 第2会場(神戸国際展示場2号館 3A)
肝W9-14

B型慢性肝疾患におけるcccDNAと発癌の関連性に対する検討

長谷川 国大1
共著者:會澤 信弘1, 西口 修平1
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兵庫医大病院・肝・胆・膵科
【はじめに】B型慢性肝疾患において,ccc DNAは肝炎活動性や発がんリスク,治療効果の指標になりうると考えられている.肝組織内のcccDNA量を血液検査等で評価することは容易ではないが,HBVコア関連抗原(HBcr抗原)量およびHBs抗原量がこれを反映すると報告されている.今回,肝発がんにおけるccc DNA量および血中HBcr抗原,HBs抗原との関連を検討した.【対象・方法】2008年10月から2015年3月に当院で肝生検もしくは肝切除術を施行した98例(年齢中央値:54.5歳(26歳~76歳),性別:男/女63/35,HBV-DNA量中央値:2.3(検出感度以下~9.1log copy/μg以上),肝発癌:あり52例/なし46例)を対象とし,cccDNA量および血液中のHBcr抗原,HBs抗原等を非発癌症例と発癌症例において比較検討を行った.【結果】全症例におけるHBcr抗原の中央値:3.75logIU/ml(3.0未満~6.8以上),HBs抗原の中央値:1053.10 IU/ml(0.05未満~71583.01)であり,cccDNA量は中央値3.25log copy/μg(1.7未満~5.8)であった.発癌例と非発癌例の比較では,cccDNAの中央値は発癌例の方が有意に低値であり(非発癌例3.5/発癌例2.75;p<0.01),HBs抗原量の中央値も発癌例で有意に低値であった(非発癌例2152.79/発癌例709.77;p<0.01)が,HBcr抗原量の中央値は有意差を認めなかった(非発癌例3.1/発癌例4.1;p=0.68).また,年齢中央値や組織所見における線維化の程度についても比較検討を行ったところ,年齢については発癌例の方が有意に高く(非発癌例 46歳/発癌例 60歳;p<0.01),線維化の程度も発癌例の方が有意に高度(F値の平均:非発癌例 1.5/発癌例 2.9;p<0.01)であった.【結語】HBs抗原およびHBcr抗原はcccDNAの多少を反映し,また発癌例は高齢者および線維化進展例に多く,その際cccDNAおよびHBs抗原は低下する傾向にあると考えられた.
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