デジタルポスターセッション(肝臓学会)
11月4日(金) 14:00–14:30 第16会場(神戸国際展示場2号館 ホール北 デジタルポスター会場)
肝P-269

C型慢性肝炎症例における糖鎖線維化マーカー (WFA+-M2BP) を用いた線維化進展例予測モデル構築の試み

高田 亮1
共著者:西川 浩樹1, 西口 修平1
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兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
【目的】糖鎖線維化マーカー (WFA+-M2BP,M2BP) を用い,C型慢性肝炎症例において線維化進展例(F3以上)の予測モデルの構築を試み,その妥当性を検証すること.【方法】対象はM2BP値を測定した386例.それらをTraining group (T-group,210例)とValidation group (V-group,176例)に分類し,T-groupにおいて,単多変量解析にてF3以上に寄与する因子を抽出し,F3以上の線維化に対する予測式を作成した.予測式とその他の線維化マーカー(M2BP,ASTALT比,APRI,FIB-4 index,Forns index,血小板数,PT値,ヒアルロン酸)において,F3以上に関する診断精度を比較検討した.さらにV-groupにおいて予測式の妥当性を検証した.【結果】T-groupとV-groupで患者背景は,平均年齢が59.9歳(男性103例)と62.2歳(男性77例),F 因子0/1/2/3/4が6/64/34/46/60例と2/39/29/44/62例,M2BPの平均値は3.13 COIと4.50 COIであった.多変量解析で,M2BP (P=0.029) とPT 値 (P=0.018) が線維化進展に対する独立した因子として抽出され,血小板数 (P=0.098) とヒアルロン酸 (P=0.078) が線維化進展との有意な傾向を認めた.この4因子を用いて以下の予測式を作成した.MPPHスコア = -3.584-(0.275×M2BP)+(0.068×血小板数)+(0.042×PT値)-(0.005×ヒアルロン酸) MPPHスコアの上昇とともに線維化進展症例は有意に減少した.T-groupにおいてMPPHスコアは8項目中,F3以上に対するAUROCが最高値を示した (0.87).V-groupにおいてもMPPHスコアは8項目中,F3以上に対するAUROCが最高値を示した (0.83).さらにM2BPとMPPHスコアを比較すると,全症例(386例)での検討で各線維化ステージ毎 (F0-1vsF2,F2vsF3,F3vsF4)に有意差をもって層別化されたのはMPPHスコアのみであった.【考察と結語】今回我々が提唱するMPPHスコアはF3以上の線維化進展に対する良好な診断能を示した.既知の線維化マーカーを組み合わせることにより,優れた予測式が作成可能と考えられた.
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