デジタルポスターセッション(肝臓学会)
11月3日(木) 15:36–16:18 第16会場(神戸国際展示場2号館 ホール北 デジタルポスター会場)
肝P-152

自己免疫性肝炎症例におけるB cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family (BAFF)とInterferon-γ-inducible protein-10 (IP-10)の関連についての検討

西川 浩樹1
共著者:榎本 平之1, 西口 修平1
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兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
【目的】B cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family (BAFF) はB細胞の生存,分化,抗体産生に重要な役割を果たし,AIH においてはBAFF値が上昇することが知られている.一方,T細胞特異的CXCケモカインであるinterferon-γ-inducible protein-10 (IP-10)は,リンパ単核炎症細胞の肝臓への進入を招き,肝内の炎症を増悪させる作用を有することが知られている.またIP-10値もAIHにおいて上昇することが知られているが,両者の関連は不明な点が多い.今回,AIH症例におけるBAFFとIP-10の関連について検討した.【方法】対象は治療前BAFF値とIP-10値を測定したAIH症例80例.BAFFとIP-10の組織学的所見や生化学所見との関連を検討した.次にBAFFとIP-10の相関を検討した.【結果】女性66例,年齢中央値は64歳であった.AIH確診例53例,疑診例27例であり,F4 / 3 / 2 / 1が17 / 22 / 23 / 18例,A3 / 2 / 1が28 / 38 / 14例であった.BAFF値は中央値 (range)が1417.8 pg/ml (122.5-7696.0)であり,IP-10値は中央値 (range) が640.1 pg/ml (142.0 to 4198.7)であった.BAFF値は炎症ステージ進行とともに有意に上昇した (A1 vs A2,P=0.01,A2 vs A3,P=0.01).IP-10値も炎症ステージ進行とともに有意に上昇した (A1 vs A2, P=0.02,A2 vs A3,P<0.01).一方,BAFF値は線維化ステージ進行とともに有意な上昇を認めるも (F0-2 vs F3-4,P=0.039),IP-10値においては有意差は認められなかった (F0-2 vs F3-4,P=0.551).BAFF値はAST値 (rs=0.511,P<0.001),ALT値 (rs=0.241,P=0.030),IgG値 (rs=0.408,P<0.001)と有意に相関し,IP-10値はAST値 (rs=0.626,P<0.001),ALT値 (rs=0.540,P<0.001)と有意に相関した.BAFF値とIP-10値は有意な相関を認めた (rs=0.561,P<0.001).【考察と結語】BAFFとIP-10はAIHの病態形成に関与している可能性が示唆された.
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