メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
11月5日(土) 9:00–12:00 第10会場(ポートピアホテル本館 和楽)
MS1-6

質の高い緩和ケアを提供していくために病院や医療従事者に期待されること

加藤 雅志
国立がん研究センターがん対策情報センター・がん医療支援研究部
平成24年6月に見直された「第2期がん対策推進基本計画」で,緩和ケアは「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」として重点的に取り組むべき課題に位置付けられている.この実現に向けた検討は厚生労働省が設置した「緩和ケア推進検討会」等でなされている.その議論の内容は,まず平成26年の新たな「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」に反映された.この指針には,新たな緩和ケアの提供体制のあり方が多く記載されており,政府が目指す今後の緩和ケアの方向性を読み取ることができる.その方向性の一つは,これまで緩和ケアは緩和ケア病棟や緩和ケアチームによる専門家たちが提供するものとして浸透してきたが,今後は全ての医療に携わる者が基本的な緩和ケアを習得し,苦痛に悩む患者等に基本的な緩和ケアを適切に提供していく体制を整備していくということである.そのための方法の一つが苦痛のスクリーニングである.そして,全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを医療現場で提供していくことができるよう,緩和ケア研修会への参加を求めている.また,今後の緩和ケアチームは,院内の主治医や病棟の看護師等が適切に緩和ケアを実践できているか評価し改善していくことの中心的な役割を担うことが強く求められるようになると考えている.また,緩和ケアに留まらない話であるが,がん診療連携拠点病院は,がん医療の質を向上させていくことを目指し,継続的に診療の質を評価し,課題を見出し,改善のための計画を立て,実施していくというPDCAサイクルを確保しながら改善に取り組むことが定められている.この診療の質の改善は病院単位での取り組みだけではなく,都道府県レベル,さらには国レベルでも取り組んでいくことも求められている.今後は,患者のより高いQOLを実現していくために,提供している医療の内容を,自己または外部により評価し改善していくことを,それぞれの医療者,医療機関がどのように取り組んでいくべきか検討していくことが必要である.
ページトップへ