ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会)
11月4日(金) 14:00–17:00 第2会場(神戸国際展示場2号館 3A)
肝W9-11

核酸アナログ/PegIFNシーケンシャル療法における,治療終了48週時の著効と関連する因子

松本 晶博1
共著者:西口 修平2, 田中 榮司1
1
信州大・消化器内科
2
兵庫医大病院・肝・胆・膵科
【目的】B型慢性肝炎の核酸アナログ(NUC)/PegIFNシーケンシャルについて,その治療効果と関連する因子については必ずしも十分解析されてはいない.今回,同治療について,治療終了後48週時の著効と関連する因子を多数例で検討したので報告する.【対象と方法】対象は,共同研究施設においてNUCからPegIFN 180μg/週に切り替え,毎週48週間投与し,PegIFN終了後48週まで経過を追うことができた90例(男66,女24 ,年齢中央値44歳,範囲30~87歳).切替時点での使用NUCはLAM 2,LAM+ADV 21,ETV 54,ETV+ADV 13であった.各症例についてPegIFN開始時,終了時,終了48週のHBsAg量およびHBcrAg量,PegIFN開始時および終了時の各種血液生化学データ,HBVマーカー,IL28B変異を測定し,治療終了48週時点での著効(ALT<30IU/L & HBV DNA<4.0 LIU/ml)と関連する因子を検討した.【結果】PegIFN投与終了後48週時著効が得られた症例は22例(24%)であった.47例(52%)では治療中または治療終了後に肝炎が再燃しNUCの再治療が行われた.48週著効に関わる因子は,開始時の高齢(p=0.028),HBsAg量低値(p<0001),HBcrAg量低値(p=0.022),AST高値(p=0.035),HBe抗原陰性(p=0.045),終了時のHBsAg量低値(p<0.001),HBcrAg量低値(p=0.013),HBV DNA量低値(p=0.006)およびHBeAg陰性(p=0.005)であった.多変量解析では終了時HBsAg量<2.4LIU/ml (OR 5.5, 95%CI 1.8-16.9, p=0.003)および終了時HBcrAg量<4.4 LU/ml (OR 4.5, 95%CI 1.1-17.9)が抽出された.開始時因子のみでの解析ではHBsAg量<3.3 LIU/ml (OR 14.7, 95%CI 3.0-71.4, p=0.001),年齢>58歳 (OR 9.6, 95%CI 2.5-37.4, p=0.001),AST > 26 IU/L (OR 6.0, 95%CI 1.6-21.7)が終了後48週著効と関連していた.【考察】NUC/PegIFNシーケンシャル療法での48週著効は24%であった.PegIFN開始時および終了時のHBsAg量とHBcrAg量は,治療終了48週時の著効を予測する有用なマーカーになる可能性が示唆された.
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