デジタルポスターセッション(肝臓学会)
11月4日(金) 14:00–14:30 第16会場(神戸国際展示場2号館 ホール北 デジタルポスター会場)
肝P-314

カルニチン投与による肝硬変糖代謝への影響

坂井 良行1
共著者:西川 浩樹1, 榎本 平之1, 霜野 良弘1, 岸野 恭平1, 中野 智景2, 長谷川 国大2, 高田 亮1, 楊 和典1, 石井 昭生1, 高島 智之1, 會澤 信弘1, 池田 直人1, 西村 貴士2, 岩田 恵典1, 飯島 尋子2, 西口 修平1
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兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
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兵庫医大超音波センター
【目的】飢餓時おいて肝臓でのβ酸化で生成されるエネルギーは糖新生に利用されるが,肝硬変患者においては臓器内のカルニチン欠乏が報告されており,β酸化に伴う糖新生への影響している可能性も示唆される.今回肝硬変患者へのカルニチン投与前後における,糖代謝への影響について検討した.【方法】当院外来通院加療中の肝硬変患者のうち,本研究参加に同意が得られた肝硬変患者13例.レボカルニチン1800mg分3/日を,12週間投与し,投与前,4週後,8週後,12週後での代謝変動を検討した.評価項目は,カルニチン分画,早朝血糖,HOMA-R,ケトン体であるβヒドロキシ酪酸,生化学各項目,間接カロリー計を用いた呼吸商とした.本研究は当大学医学部倫理委員会の承認を得ている.【成績】男8例女5例の13症例(HCV7例,HBV1例,アルコール3例,PBC1例,AIH1例).平均年齢66.8±12.9歳,平均Child-pugh score 7.0±2.1.投与前と投与4週後を比較して,総カルニチン,遊離カルニチン,アシルカルニチンのいずれの分画においても有意な増加を認めた(p<0.05).早朝血糖,HOMA-Rは治療前後で優位な変化は認めなかった.βヒドロキシ酪酸は投与前59.1±15.7μmol/l,投与4週後99.3±16.2(p=0.02),8週後94.2±16.2(p=0.26),12週後93.0±23.5(p=0.22)へと優位な増加を認めた.npRQは投与後増加傾向認めるも優位さは認めなかった.しかし投与前のnpRQ<0.85の7症例での検討では有意な増加を認めた.【結論】飢餓時おいて肝臓でのβ酸化で生成されるエネルギーは糖新生に利用され,β酸化で生じたアセチルCoAはケトン体に生成される.肝硬変患者へのカルニチン投与による糖代謝への影響は少ないが,飢餓時における肝臓での糖新生を促進し,エネルギー代謝改善を改善させる可能性が示唆された.
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