デジタルポスターセッション(肝臓学会)
11月3日(木) 15:36–16:12 第16会場(神戸国際展示場2号館 ホール北 デジタルポスター会場)
肝P-109

C型肝炎治療が患者の活動性に与える影響について

楊 和典1
共著者:榎本 平之1, 宮本 優帆1, 中野 千景2, 石井 紀子1, 由利 幸久1, 長谷川 国大1, 高田 亮1, 石井 昭生1, 高嶋 智之1, 坂井 良行1, 会澤 信行1, 西村 貴士2, 池田 直人1, 西川 浩樹1, 岩田 恵典1, 飯島 尋子1,2, 西口 修平1
1
兵庫医大病院・肝・胆・膵科
2
兵庫医大超音波センター
【目的】C型慢性肝炎患者に対する抗ウイルス療法の活動性への影響についてはいくつか報告がされているが,多くは主観的評価に基づいており客観的評価による報告はほとんどなされていない.【方法】C型慢性肝炎患者に対して治療を行った72例について治療法別に検討した.評価は治療前と治療開始4週,治療終了時で行った.評価はアクティグラフによる客観的評価を主に用いた.アクティグラフでは覚醒回数,activity index,就床中の覚醒時間を,客観的評価ではスコアの変化を評価因子として抗ウイルス治療がC型肝炎患者のQOLに及ぼす影響について前向きに検討した. 【結果】IFN-base群31例(62.3±10.6歳 M/F 15/16),IFN-free群41例(58.4±13.4歳 M/F 24/17)であり両群の臨床的な背景には概ね差がみられなかった.IFN-base投与群では治療開始後4週目より覚醒回数は増加(6.7±4.0回→8.8±3.7回 p<0.01),就床中の覚醒時間の増加(38.1±28.6→58.8±45.9  p<0.05 ),就床中の活動指数(activity index : actx)の悪化(30.3±13.9→36.5±15.2  p<0.01)を認めた.治療終了時では優位な変化は認められなかったが4週目時点より若干改善している傾向であった.これに対してIFN-free群では治療前に比して就床中の覚醒回数,覚醒時間,活動指数(actx),日中の居眠り回数のスコアいずれの観察ポイントでも有意な変化は認められなかった.【結語】IFN治療による睡眠の質の低下について客観的に把握することができた.それに対してIFN-free治療については睡眠の質への影響は認められなかった.本検討からアクティグラフは抗ウイルス療法による副作用を客観的にかつ鋭敏に評価しうる手法と考えられ,IFNフリーの治療は睡眠に関する副作用を生じにくいと考えられた.
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