10月23日(木) 14:00–17:00 第1会場(神戸国際展示場2号館 ホール北)
肝PD1-9追

ペグインターフェロンα・リバビリン・プロテアーゼ阻害薬3剤併用療法の成績と抗IFNα中和抗体の効果に関する検討

高嶋 智之1
共著者:榎本 平之1, 西口 修平1
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兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
【背景】C 型慢性肝炎に対し,ペグインターフェロンα(PegIFNα)/リバビリン(RBV) /プロテアーゼ阻害剤(PI)の3剤併用療法によってSVR率は著しく向上した.一方で治療無効例は依然として存在し,特に前治療無効例のSVR率は40-50%程度に留まっている.われわれは抗IFNα中和抗体がPEG-IFNα/RBVの2剤療法における治療無効の一因となることを報告してきた.今回3剤併用療法の治療成績について,抗IFNα中和抗体の関与を含めて検討した.【方法】当科でPegIFNα/RBVと第二世代を含むPIによる3剤併用療法を導入した108症例のうち,SVR12判定できた76症例(平均年齢56.8歳,男性28例/女性48例)を対象に治療成績を検討した.さらにIL28B 遺伝子多型,Coreアミノ酸変異に加え,抗IFNα中和抗体と治療効果との関連について検討した.【成績】全体では64.4%(49/76)でSVRが得られた.IL28B がTTのmajor homo 症例では 79%(34/43)と高率にSVRが達成されたが,non-TTのhetro/minorの症例では46.6%(14/30)であった.前回治療効果別にSVR率をみると,初回81.2%(26/32),再燃76.4%(13/17)と高いSVR率が得られたが,無効例では33.3%(9/27)であった.抗IFNα中和抗体は前回治療無効例のうちの6例(男性2例/女性4例)に認められ,その治療成績は再燃1例,無効5例とIL28BがTTの例も含めて1例もSVRを達成できず,全例でPI耐性変異ウイルスの出現を見た.一方でSVR症例では,抗IFNα中和抗体は全例で陰性であった.【結論】抗IFNα中和抗体陽性者では3剤併用療法でも無効となる可能性が高く,また耐性ウイルスの出現も危惧される.前回治療無効例に対しては,抗IFNα中和抗体陽性者を測定し,陽性者に対してはIFN freeの治療選択が望ましいと考えられる.