10月24日(金) 9:00–12:00 第4会場(ポートピアホテル南館 ポートピアホール)
肝PD8-3

超音波による肝硬変診断とVF map scoreによる発癌予測

青木 智子1
共著者:飯島 尋子1,2, 西口 修平1
1
兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
2
兵庫医大超音波センター
【背景・目的】非侵襲的線維化診断の登場により,肝線維化や肝硬変の重症度診断など多彩な情報が得られるようになった.VTQを用いた線維化診断と発癌予測について,臨床的肝硬変(LC),慢性肝炎(CH)に分けて検討を行った.【対象・方法】(1)2008/10~2013/12に当施設でエコー下針肝生検を施行した1186例中,F4と診断されたか食道胃静脈瘤を認めた304例を臨床的肝硬変と定義し,肝生検とVTQでLC診断能を比較検討した.(2)初診時に発癌歴のない1834例(LC268/CH1566)を追跡し経過中に発癌した症例と発癌しなかった症例の差異をLC/CHに分けて検討した.【成績】(1)LC304例中,病理学的にF4/F3/F2/F1/F0と診断された症例は214/60/20/9/1例存在し,食道静脈瘤を有するがF0-2と診断された30例はサンプリングエラーと考えられた.肝生検によるLC診断能は感度70.4%,特異度100%,PPV100%,NPV90.7%であった.VTQではカットオフ値1.494(AUROC0.868)のとき,感度79.3%,特異度85.6%,PPV65.5%,NPV92.3%であり,肝生検に匹敵する感度・NPVを持つことが明らかとなった.(2)平均観察期間32ヶ月でLC268例中51例(23.5%)が肝発癌に至り,同35ヶ月でCH1566例中18例(1.16%)が肝発癌に至った.単変量解析による発癌リスクは,LCで年齢,性別,ヒアルロン酸,空腹時血糖(FBG)であり(P<0.01),CHで年齢,性別,VTQ,Platelet,FBG,T-Cholであった(P<0.05).ロジスティック回帰分析では,LCはage,FBGが有意な発癌リスクで(P<0.01),Kaplan-Meier曲線ではFBG>104mg/dlかつ年齢>61歳の症例で有意に累積発癌率が高かった.以前から我々が提唱しているVF map score(VTQ,FBG,male,age,platelet)を用いると,全例,CHでのKaplan-Meier曲線による累積発癌率は,VF map score5点以上の場合に有意に高値となることが示された.【結語】エコー下肝生検によるLC診断の感度・NPVはVTQと大差を認めなかった.また,非侵襲的検査で肝細胞癌の高危険群を拾い上げることが可能であると考えられた.