10月23日(木) 14:00–14:35 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-163

栄養・運動療法と肝庇護薬によるNASH治療効果判定

青木 智子1,2
共著者:飯島 尋子1,2, 西口 修平1
1
兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
2
兵庫医大超音波センター
【目的】新規薬の治験が行われているが,一般的に現在のNASH治療は肝臓の炎症を抑制する治療法(UDCA),脂肪肝・糖尿病改善・減量を目指した栄養・運動療法が主体となっていると思われる.我々はそこに注目し,定期的な一般的加療による肝炎症,脂肪肝改善の及ぼす影響を考察した.【方法】(1)2008/10~2013/12 当院で組織学的にNASHと診断し得た78例(HCV5,HBV4,NBNC69)を対象としてBrunt分類と相関する因子を重回帰分析で検討した.(2)臨床的にNASHとして加療をしている74例を対象として,(a)定期的な栄養・運動療法による減量や(b)UDCA投与により脂肪肝・ALT・FIB4が変化するか比較・検討した.【成績】(1)重回帰分析の結果,Brunt分類のGradeと相関する因子は,脂肪肝の程度,ALT,Stageであった(P<0.01).また,Stageと相関する因子は,VTQ,PT-INR,Gradeであった(P<0.01).FIB4 indexはstageと良好な相関関係を認めたが,外れ値のため有意差がつかず,VTQはFIB4に劣らない線維化診断のマーカーとなることが明らかとなった.(2)(a)食事・運動療法による体重の変化率と有意な正の相関を示す因子は,皮下脂肪厚の変化率,AST変化率,ALT変化率,脂肪肝の改善の程度であり(P<0.05),FIB4,腹囲変化率は有意な相関を認めなかった.(b)UDCAを継続投与している44例,非投与30例を比較すると,体重・BMI・腹囲・皮下脂肪厚・脂肪肝で差がないものの,AST,ALTは有意に低値であった(P<0.05).【考察】従来から行われている食事運動療法で効果の得られた症例は,脂肪肝が改善し,AST・ALTも改善していた.UDCAは体重や脂肪肝の改善がなくともAST・ALTを有意に低下させていた.短い経過期間では両治療による線維化マーカーの改善は得られなかった.【結語】Brunt分類のGradeと相関する因子は,脂肪肝・ALTであり,食事運動療法の成果により改善が可能であった.Stageと相関する因子は非侵襲的線維化マーカーであり,短期間の観察では改善の評価は困難であった.