10月23日(木) 14:45–15:30 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-68

肝癌診療のためのFIB4 indexによる発癌リスク予測

青木 智子1
共著者:西口 修平2, 飯島 尋子1,2
1
兵庫医大超音波センター
2
兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
【目的】 肝癌の早期診断は超音波やEOBMRIに優るものはない.しかし発癌予測の役割を果たすものではない.私たちはこれまで肝硬度診断のshare waveを用いた後ろ向きコホート研究で発癌リスク予測が可能であることを報告し,血糖値とVTQなどを組み合わせると発癌予測に貢献出来る可能性が高いと考えている.今回は血清マーカーで発癌リスク予測が可能であるかを検討した.【対象・方法】(1)2008/10~2013/12の期間追跡できている慢性肝疾患1820例を対象として,初診時の背景肝因子(年齢,性別,BMI,脂肪肝の有無),血清マーカーを用いて解析を行った.1820例の平均観察期間は35.4ヶ月であり,肝発癌に至った症例は68例で,発癌しなかった症例との差を比較検討した.【成績】発癌例68例と非発癌例1752例の差を単変量解析で検討すると,年齢,性別,FIB4 index,血小板数,血清アルブミン値,空腹時血糖(FBG)で有意な差を認めた(P<0.05).一方で,脂肪肝,APRI,腫瘍マーカー(AFP,PIVKA-2)は有意差を認めなかった.Kaplan-Meier曲線(Log Rank検定)で検討すると,高齢(62歳以上),男性,FBG高値(105以上),血小板低値(15.2万以下),FIB4 index(2.43以上)の全てを有する症例では,早期から高率に肝発癌が認められ,5因子の組み合わせ診断は発癌予測に有用と考えられた.【考察】我々は,上記リスクを有する症例で,RN,DNの腫瘍増大速度が速いことを経験している.リスクの高い症例で追跡早期に肝発癌が認められたケースでは,これら前癌病変が早期肝癌~古典的肝癌に移行しやすい素因を持っているのではないかと考えている.【結語】高齢の男性で,空腹時血糖が高く,線維化の進行が予想される症例は,早期から高率に肝発癌をきたしうるため,慎重なf/uが必要である.