10月23日(木) 15:16–15:49 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-34

慢性B型肝疾患における鉄代謝異常

会澤 信弘1
共著者:由利 利幸1, 中野 智景1, 青木 智子1, 楊 和典1, 石井 昭生1, 橋本 健二1, 高嶋 智之1, 坂井 良行1, 池田 直人1, 田中 弘教1, 岩田 恵典1, 榎本 平之1, 斎藤 正紀1, 飯島 尋子1, 西口 修平1
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兵庫医大病院・肝・胆・膵科
はじめに慢性肝疾患と鉄代謝異常の関連については様々な報告があるが,慢性B型肝疾患における鉄代謝異常と炎症についての報告は少ない.今回,慢性B型肝疾患における炎症と鉄代謝異常について検討した.対象・方法当院で慢性B型肝疾患と診断し肝生検を施行した203例(年齢46.5±11.7歳,男性115例,女性88例,HBV-DNA量:4log copy/ml以上94例,4log copy/ml未満109例,抗ウイルス剤投与:有り86例,無し117例)を対象とした.これらの症例において炎症の程度をALT値31U/l以上(96例),30U/l未満(107例)にわけて,それぞれの患者背景,血液検査所見について比較検討した.結果ALT値31U/l以上の症例のうちHBV-DNA量が4log copy/ml以上は67例,4log copy/ml未満は29例であり,ALT値30U/l未満の症例で4log copy/ml以上が27例,4log copy/ml未満が80例であった.ウイルス量が比較的低い症例でも炎症を認めていた.血清フェリチン値はALT値31U/l以上の症例では148.7±161.6ng/ml,ALT値30U/l未満の症例では74.7±66.3ng/mlとALT高値症例では有意に高値であった(P<0.05).また,ALT高値症例ではBMIが23.2±4.5であり,ALT低値症例21.9±5.1に比べ高い傾向を認め,インスリン抵抗性を示すHOMA-RもALT高値症例で2.16±1.93,ALT低値症例で1.66±1.54でありALT高値症例で有意に高値であった(P<0.05).HBV-DNA量が4log copy/ml未満の症例で比較すると,フェリチン値,BMI,HOMA-RはALT値31U/l以上の症例でそれぞれ161.4±189.9 ng/ml,25.2±4.7,2.90±2.25,ALT値30U/l未満の症例で68.0±51.6 ng/ml,21.6±5.4,1.72±1.58であった.結論慢性B型肝疾患では,炎症が高度な症例はフェリチン値が高値であり,BMIやHOMA-Rも高値であった.これらのことから,ウイルス以外の要因による炎症の存在が考えられ,NAFLDに伴う鉄代謝異常の影響が示唆された.