10月23日(木) 14:45–15:30 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-67

肝腫瘤増大速度に影響を与える因子について

中野 智景1,2
共著者:青木 智子2, 橋本 健二1,2, 高嶋 智之2, 坂井 良行2, 會澤 信弘2, 池田 直人2, 田中 弘教1,2, 岩田 恵典2, 榎本 平之2, 斎藤 正紀2, 廣田 誠一3, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2
1
兵庫医大超音波センター
2
兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
3
兵庫医大・病理学(病院病理部門)
【目的】慢性肝疾患に伴う肝腫瘤の経過観察で腫瘤は増大,縮小など変化する.今回,腫瘤の増大に関与する因子を検討した.【方法】2008年10月~2013年7月,腹部超音波(CUS)で発見し2回以上経過観察したSOL108例を対象にした.SOLのサイズは5-37mm平均mm.CEUSでの動脈相,門脈相,Kupffer相を評価した.また肝硬度(VTQ)及び背景因子と腫瘍容積倍加速度(TVDT)・TDVTの逆数の増大速度growth rate(GR)と相関する因子を比較検討した.【成績】(1)108結節中,増大は50結節,不変は22結節,縮小は29結節,消失は7結節存在した.増大50結節を用いGRとの相関を検討すると,初発時の腫瘍最大径,CUS輝度,動脈相・門脈相の血行動態,VTQ,BMI,空腹時血糖値(FBG)と有意な相関関係はなかった.Kupffer相は,hyper2結節 /iso43結節 /hypo5結節で平均GR3.0/7.88/14.4と増大速度は増加傾向であった(P=0.149).また,私達が発癌予測因子と提唱しているVTQ,FBG,male,age,plateletを組み合わせたVF map scoreは相関係数0.289,P=0.051と強い相関を認めた.(2)腫瘍増大を認めた症例を提示する.60歳代男性,C型肝硬変.4年前初発HCCの外科治療を施行.右葉後区域に10mmの高エコー腫瘤は動脈血流の低下を認めた.177日後,腫瘍は13mmのリング状高エコーに変化,動脈血流変化なく門脈血流が低下した(TVDT156).84日後腫瘍は16mmでモザイクとなり(TVDT93),Kupffer相低下を認め,HCCと診断しRFAを行った.腫瘍マーカーなど血液検査と相関はなかったが,腫瘍サイズの増大に伴い脱分化する経過を超音波で追うことができた.【結語】Kupffer相で低輝度になる腫瘤はGRが早くVF map scoreはGRと相関した