10月23日(木) 15:04–15:45 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-50

B型慢性肝炎に対するエンテカビル/IFN sequential療法:特にPEG-IFNと従来型IFNの比較について

榎本 大1
共著者:齋藤 正紀2, 榎本 平之2, 西口 修平2, 津田 泰宏3, 樋口 和秀3, 打田 佐和子1, 森川 浩安1, 村上 善基1, 田守 昭博1, 河田 則文1
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大阪市立大大学院・肝胆膵病態内科学
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兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
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大阪医大・2内科
【背景】我々はB型慢性肝炎に対するエンテカビル(ETV)/IFN sequential療法の有用性を報告してきた.PEG-IFNα2a 48週投与の承認後,治療目標としてALT,HBeAg,HBV DNAに加え,HBsAgの低下が重視されるようになった.【方法】対象はB型慢性肝炎37例.1)N群:2010年以前の24例にはETVを約48週投与後,従来型IFNを24週投与した.2)P群:2010年以降の13例にはETVを約48週投与後,PEG-IFNを48週投与した.【成績】1)N群(39±7歳,男性96%,遺伝子型C 96%,HBsAg 3.7 Log IU,HBeAg陽性100%,HBV DNA 7.6 Logコピー)におけるIFN開始時,IFN終了時,終了後6ヶ月のHBsAgの変化(Log)は平均+0.08,-0.21,-0.19,HBeAg陰性化は29%,33%,29%,HBV DNAの変化(Log)は平均-5.5,-4.4,-1.5,HBV DNA<104コピー/mLは100%,71%,21%であった.2)P群(36±6歳,男性62%,遺伝子型C 92%,HBsAg 3.4 Log IU,HBeAg陽性77%,HBV DNA 7.5 Logコピー)におけるPEG-IFN開始時,開始後6ヶ月,PEG-IFN終了時のHBsAgの変化(Log)は平均-0.01,-0.60,-0.90,HBeAg陰性化は20%,60%,57%,HBV DNAの変化(Log)は平均-5.2,-4.5,-4.6,HBV DNA<104コピー/mLは100%,77%,75%であった.IFN開始後6ヶ月のHBsAgの低下は,N群に比較してP群において大きかった(P<0.05).3)投与終了6ヶ月後の効果判定において,N群の5/24(21%)に著効が得られた.P群の効果判定可能例における著効は1/4(25%)であったが,PEG-IFN 24週目にHBsAg陰性化が得られ,その後も著効を持続している.【結論】1)ETVからPEG-IFNへの切り替えによってHBsAg低下が得られ,かつその低下率は従来型IFNを用いた時より有意に大きかった. 2)ETVからPEG-IFNへの切り替えによってHBV DNAは若干上昇するが,投与中のHBV DNAは従来型IFNを用いた時より低値に抑えられている.