10月24日(金) 14:00–14:29 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-330

C型肝炎治療時のリバビリン誘導性貧血に対するカルニチン補充療法の有効性についての検討

坂井 良行1
共著者:石井 紀子1, 中野 千景1, 青木 智子1, 由利 幸久1, 楊 和典1, 石井 昭生1, 橋本 健二1, 高島 智之1, 會澤 信弘1, 岩田 一也1, 池田 直人1, 田中 弘教1, 岩田 恵典1, 榎本 平之1, 齋藤 正紀1, 飯島 尋子1, 西口 修平1
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兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
【目的】
ITPA遺伝子多型とリバビリン誘導性貧血は関与しており,特にITPA遺伝子rs1127354がC/C (major homo type)では貧血の程度が強い.今回我々は,C型肝炎患者に対するリバビリン併用療法時に,ITPA遺伝子多型を測定したうえでmajor typeとそれ以外の2群にわけ,カルニチン補充療法がリバビリン誘導性貧血を抑制できるかどうかを検討した.
【方法】
対象はPeg-IFN/Ribavirin併用療法導入予定のC型肝炎患者.ITPA遺伝子がC/C major homo type患者をA群,その他の患者をB群とした.両群ともPeg-IFN/Ribavirin併用療法開始時よりカルニチン投与群と非投与群に無作為に割り付け,その貧血および血中カルニチンの推移を評価した.1日あたりのレボカルニチン投与量は3600mg分3,投与期間は8週間とした.なお本試験は当院倫理委会にて承認されている.
【結果】
H24年7月~H25年11月までの間で基準満たす15例がエントリーされ,そのうちA群9例,B群6例であった.A群9例のうちカルニチン非投与群は4例,治療前平均Hb14.5g/dlであった.投与群は5例,治療前平均Hb13.5g/dlであった.治療開始時の貧血値を1とした変化率は,非投与群では4週目0.82,8週目0.77と低下傾向を認めたが,投与群では4週目0.95,8週目0.93と維持される傾向あり,4週目および8週目とも2群間で有意差を認めた.B群6例のうち非投与群は3例,治療前平均14.4g/dlであった.投与群は3例,治療前平均Hb12.1g/dlであった.治療開始時の貧血値を1とした変化率は,非投与群では4週目1.01,8週目0.95,投与群では4週目1.00,8週目0.96と両群とも維持される傾向であった.
【結論】
ITPA遺伝子がC/C major homo typeであるC型肝炎患者ではリバビリン誘導性貧血を起こす傾向あったが,カルニチン補充することで貧血を抑制できる可能性が示唆された.