10月24日(金) 14:00–14:41 第15会場(神戸国際展示場3号館 デジタルポスター会場)
肝P-346

C型慢性肝疾患における血清マーカーELFスコアを用いた肝線維化診断の有用性

高嶋 智之1
共著者:飯島 尋子1,2, 會澤 信弘1, 中野 智景2, 長谷川 国大1, 高田 亮1, 青木 智子1, 楊 和典1, 石井 昭生1, 橋本 健二2, 坂井 良行1, 池田 直人1, 田中 弘教1,2, 岩田 恵典1, 榎本 平之1, 齋藤 正紀1, 中島 収3, 矢野 博久3, 西口 修平1
1
兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)
2
兵庫医大超音波センター
3
久留米大・病理学
【目的】肝線維化は肝生検により診断されるが,侵襲的かつサンプリングエラーなどの問題がある.今回我々は,新たな血清線維化診断法であるEnhanced Liver fibrosis panel (ELF:ケミルミADVIA Centaur®)を用いた肝線維化診断の有用性につき検討した.【方法】2009年2月から2013年9月に肝生検を行い,同日に血清を保存できたC型慢性肝疾患247例と臨床的にC型肝硬変と診断した26例を対象とした.平均年齢60.6±11.7歳,男性130例,女性143例であった.線維化(F)程度は,F0 10例, F1 89例,F2 78例,F3 38例,F4 58例であった.ELF試験では,血清ヒアルロン酸(HA),プロコラーゲン3アミノ酸末端ペプチド(P3P),組織メタプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)の測定値を組み合わせたアルゴリズムよりELFスコアを算出し肝線維化診断の有用性についてROC解析にて検討した.【結果】各F因子別のELFスコアはF0;8.64,F1;9.21,F2;10.17,F3;10.96,F4;11.39であり線維化の進展に伴い増加した.肝硬変の診断能はAUROC 0.823 (P <0.001)と良好な判別能を得た.Cut off値を10.5とした時,感度86%,特異度71%,陽性的中率44%であった.またF3以上,F2以上の肝線維化の診断能は,それぞれAUROC 0.834 (P <0.001) ,0.830 (P <0.001)であり,早期の慢性肝炎の診断にも有用であると考えられた.各線維化マーカーとF因子別の相関係数は,HA;0.481,P3P;0.395,TIMP-1;0.450,ELF;0.621,4型コラーゲン7S;0.318,APRI;0.440,FIB-4;0.569,VTQ; 0.607といずれも有意差を認めたが,特にELF,VTQ,FIB-4で良好な相関を認めた.【結語】ELFスコアはC型慢性肝疾患の肝線維化診断に有用な非侵襲的な検査法であり,早期の慢性肝炎の診断能にも有用である.