外P-137
直腸癌に対する腹腔鏡下側方郭清
古畑 智久1
共著者:沖田 憲司1,西舘 敏彦1,目黒 誠1,川本 雅樹1,伊東 竜哉1,山口 洋志1,信岡 隆幸1,木村 康利1,水口 徹1,佐々木 一晃2,平田 公一1
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- 札幌医大・1外科
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- 小樽掖済会病院・外科
【目的】当科では、2006年から小開腹下、2009年から腹腔鏡下に側方郭清を行っており、その現状について報告する。【対象と方法】2006年~2012年11月に側方郭清術を施行した42例を対象とし、側方郭清方法の推移、郭清リンパ節個数について検討した。小開腹下(MiniOp)は、腹腔鏡下直腸切除・切断後に恥骨上7~10cm開腹し側方郭清を行う。腹腔鏡下(LA)では、口側腸管切離、アンビル装着以外の操作は全て腹腔鏡下に行う。LAは予防的郭清のみを適応としている。【LA側方郭清の手技】まず、郭清範囲を覆っている腹膜を剥離し腹壁に縫合固定し、良好な視野を確保する。尿管、下腹神経をテーピングし、術中損傷予防を行う。郭清は#293、#273、#263P、#283、#263Dの順で行う。#283、#263Dの最深部は、上膀胱動脈に沿って腹膜を切開し、視野を確保する。郭清操作は、モノポーラーとバイポーラー電気メスを使用する。【結果】側方郭清は、開腹下(Op):14例、MiniOp:11例、LA:17例に行われた。郭清方法(Op/MiniOp/LA)の推移は、2006(6/2/0)、2007(0/5/0)、2008(3/4/0)、2009(1/0/4)、2010(1/0/6)、2011(2/0/4)、2012(1/0/3)。平均リンパ節個数は、Op:10.5個、MiniOp:10.0個、LA:11.3個と差を認めなかった。LA側方郭清からOpへの移行となった症例は現在まで認めていない。LAおいて2例(11.8%)に排尿障害と骨盤内リンパ嚢腫を認めた。Op/MiniOp/LAの根治度A症例の平均観察期間は2.7/4.2/1.2年、再発率は44.4/20.0/0%、局所再発11.1/0/0%であった。【結論】腹腔鏡下の手術手技の習熟、適切な症例の選択によって腹腔鏡下側方郭清術は安全かつ有効に施行可能と考えられる。2例にリンパ嚢腫を認めており、リンパ管シーリング効果の高いエネルギーデバイスの使用を考慮すべきと思われた。LAでは観察期間が短く予後解析が行われていないため、現時点では予防的郭清を適応とするのが妥当と考えている。