検P-45

人間ドックにおけるX線検査画像と「胃の健康度チェック」 優秀演題

齋藤 洋子1,2
共著者:富山 芳丈1,岡安 啓介1,桑原 淳1,西木戸 理子1,皆川 京子1,上甲 宏2,3,海老原 次男2,4
1
茨城県メディカルセンター
2
茨城県医師会
3
上甲医院
4
龍ケ崎済生会病院・消化器内科
【目的】当院での人間ドック上部消化管検査は直接X線撮影法が用いられているが、読影医の熟練度によらずに背景粘膜がわかることは有用である。2006年度より初回受診者に対し尿中抗Hp抗体法によるHp検査を実施していたが、2009年度よりこれにペプシノゲン(PG)法を加え「胃の健康度チェック」として希望者に開始した。判定はPG1値≦70.0かつPG1/2比≦3.0をPG法陽性としているが、今後PG法判定をどうしていくべきかを検討する目的で解析を行った。【方法】当日の読影は検査結果を伏せ、画像からHp感染と萎縮の有無を判断し、未感染胃をA1、感染胃は萎縮の程度に応じて軽度(C1)、中等度(C3)、高度(C4)に分類している。【結果】受診者は755人(男性471人、女性284人)。「除菌歴なし」男性398人、女性253人、「除菌歴あり」男性73人(15.5%)、女性31人(10.9%)。「除菌歴なし」の受診者の年齢階級は男女各々、40歳未満(11.8%・7.1%)、40歳台(25.4%・23.3%)、50歳台(39.0%・37.6%)、60歳台(19.4%・25.3%)、70歳以上(4.6%・6.7%)。Hp陽性は男性196人(49.2%)、女性146人(57.7%)。Hp結果にかかわらずPG1≦70.0かつ1/2比≦3.0は男性118人(29.6%)、女性92人(36.4%)。Hp陰性でPG1≦70.0かつ3.0<PG1/2比≦4.0で画像検査を受けていたのは男性29人、女性37人。これら画像はA1(25人・32人)、C2(2人・4人)、C3(1人・1人)、C4(1人・0人)であり、この群を所謂A群と判定した場合でも、男性で86.2%、女性で86.5%は画像も未感染胃と判断して良いものであった。【結論】胃粘膜のリスク検診を行う際、未感染胃(A群:Hp陰性・PG法陰性)をどう拾い上げていくかは極めて重要である。X線画像からはPG1値≦70.0かつPG1/2比≦3.0をPG法陽性としても問題はなかったが、「除菌症例」の増加による偽A群の見極め、画像診断に寄らずに炎症と萎縮をみる検査の感度を補う意味でも、A群といえども一度は画像検査を実施することが推奨される。