検P-24
カテゴリー3の間接所見から手術に至った下部胆管癌の1例
小川 由佳1
共著者:小宮 雅明1,荒井 健一1,松本 沙知子1,若杉 聡2,平田 信人2
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- 亀田総合病院・超音波検査室
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- 亀田総合病院・消化器内科
【はじめに】「腹部超音波がん検診基準」では胆嚢腫大(短径>35mm)、胆泥は共にカテゴリー3に分類される。今回われわれは、初回指摘の胆嚢腫大と胆泥(カテゴリー3)をきっかけに精査され、診断された下部胆管癌を経験した。【症例 】66歳男性。2012年1月、当院人間ドックを初めて受診した。血液検査ではAST33IU/l、ALT46IU/l、γ-GT493IU/lと、ALT、γ-GTの上昇を認めた。【腹部超音波検査(以下US)】胆嚢は短径45mmと腫大し、内腔に胆泥を認めた。胆嚢壁の肥厚は認めなかった。胆嚢の部位に圧痛も認めなかった。肝外胆管は拡張を認めず、腫瘤像や壁肥厚も認めなかった。しかし、下部胆管は描出困難だった。初回指摘のため、精査を指示した。【その後の経過】他院で施行したMRIで下部胆管狭窄が疑われ、ERC下のブラシ細胞診でclass3bであり、胆管癌を否定できず当院消化器内科に紹介受診となった。EUSで下部胆管に30mmの充実性領域を認め、同部位で約19mmにわたり内腔の狭窄を認めた。ERCPで下部胆管は約19mmにわたって狭窄し、同部位からの生検で腺癌を認めた。MRI、造影CT検査時には胆道ステントが留置されており、胆管壁の肥厚や狭窄像は認めなかった。精査のUSでは下部胆管内に約27mmの充実性領域を描出することができた。【考察および結語】人間ドックUSでは間接所見のみ描出可能で、直接所見の描出は精査のUSで可能であった。人間ドックの限られた時間内では直接所見の描出が困難なこともあるため、初回検査の場合は間接所見のみから精査することが重要思われた。また、同じカテゴリー3でも逐年症例の「カテゴリー3´」と初回指摘の「カテゴリー3」を区別することの意義を再認識した。