肝P-209
シスプラチン不応進行肝細胞癌症例に対するミリプラチンの効果
萩原 淳司1
共著者:川村 悦史1,藤井 英樹1,岩井 秀司1,森川 浩安1,榎本 大1,田守 昭博1,河田 則文1
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- 大阪市立大大学院・肝胆膵病態内科学
【目的】進行肝細胞癌に対しては肝動注化学療法が汎用されている。ミリプラチンは2009年10月に保険承認された。ミリプラチンはシスプラチンと共に白金製剤であるが交叉耐性はないと言われている。今回我々は、シスプラチン不応の進行肝細胞癌に対するミリプラチンの効果を検討した。【症例】対象は、ミリプラチンが保険承認された2009年10月以降2011年12月までに当院で肝動注化学療法施行されるかまたはミリプラチンを投与(肝動注化学療法と肝動脈塞栓術を含む)された進行肝細胞癌患者のべ177例(年齢の中央値は71歳)であった。【結果】177例に投与された薬剤の内訳は、シスプラチン単独が111例、ミリプラチンが61例、FP(5FUとシスプラチンの併用)が4例、エピルビシンが1例であった。ミリプラチンを投与された61例の内、29例は一部に何らかの塞栓術が併用され、ミリプラチン肝動注のみを施行されたのは32例であった。シスプラチン肝動注療法不応例に対してミリプラチン肝動注が施行されたのは、11例(年齢の中央値は75歳)であった。11例の中には治療継続中の症例もあるが、その無増悪生存期間(DFS)は、1.8ヶ月(54日)であった。【結論】今回の検討では症例数が少なく断定的なことは言えないが、肝動注化学療法を施行される症例は全身状態が悪いこともあり、シスプラチン不応の進行肝細胞癌に対するミリプラチンの有効性は明らかでなかった。