外P-897

限局性腹部大動脈解離に伴う下腸間膜動脈閉塞によりS状結腸壊死を来した1例

峯岸 裕蔵1
共著者:成井 一隆1,川口 大輔1,三宅 謙太郎1,高川 亮1,南 裕太1,盛田 知幸1,福島 忠男1,舛井 秀宣1,茂垣 雅俊1,長堀 薫1
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横須賀共済病院・外科
症例は82歳,男性で,突然の腹痛で当院に救急搬送された.造影CTでは腎動脈末梢側から腹部大動脈分岐部までの,腹部大動脈に限局した解離を認め,下腸間膜動脈の閉塞を認めた。側副血行路による血流で腸管虚血を回避できると判断し,絶食と降圧療法により保存的に治療したが,第3病日に症状増悪を認め緊急開腹術を実施した。開腹所見でS状結腸が約25cmにわたって黒色壊死に陥っていたため、同部を切除、口側のS状結腸で単孔式人工肛門を造設しHartmann手術とした。 腹部大動脈解離は比較的稀な疾患であるが,分枝血管の閉塞の危険があり,腹部造影ダイナミックCTなどで詳細に評価する必要がある.また,下腸間膜動脈の閉塞のみでも腸管虚血を来す危険があり,閉塞を確認した際には慎重な対応が必要と思われた.文献的考察を加えて報告する.