外P-895
腸閉塞にて発症した特発性腸間膜静脈硬化症の1例
大木 宇希1
共著者:杉谷 一宏1,吉田 裕1,平岡 優1,長岡 弘1,中神 克尚1,金 准之1,高橋 泰1
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- 小川赤十字病院
今回我々は、腸閉塞にて発症した特発性腸間膜静脈硬化症の1例を経験したので報告する。症例は、48歳女性。平成24年1月中旬、腹痛・嘔吐が出現し近医にて内服・点滴を受けるも改善せず、症状出現より6日後に当院救急外来を受診した。腹満強く腹部X-Pにて小腸の拡張及びニボーを認め、上行結腸の走行に沿うように樹枝状の石灰化を認めた。腸閉塞症の診断にて緊急入院となった。既往歴にアトピー性皮膚炎があり、またこれに対して長期間に渡り漢方薬を内服していた。腹部CTにて小腸の回盲部までの拡張と上行結腸の壁の肥厚・一部内腔の狭小化、及び右側腹部の腸間膜に沿った石灰化を認めた。イレウス管を挿入したところ症状軽快傾向みられ、上行結腸の内腔の狭小化確認のため入院後11日目に下部消化管内視鏡検査を施行した。盲腸部から上行結腸にかけて襞の消失と発赤・潰瘍を認め、全結腸において粘膜の浮腫と青銅色の色素沈着を認めた。組織診にて粘膜固有層にび慢性に見られる膠原繊維の沈着を認めた。以上より特発性腸間膜静脈硬化症と診断した。保存的治療にて軽快し退院となる。 特発性腸間膜静脈硬化症は稀な疾患であるが、近年その報告は増加してきている。原因は不明とされているが、漢方薬が原因の一つとして考えられるとの報告もある。本症例はアトピー性皮膚炎に対し約20年間漢方薬を内服していた既往もあり、発症原因の一つとしての可能性が考えられた。
- 索引用語1:特発性腸間膜静脈硬化症
- 索引用語2:漢方薬