三木 会長

DDW-Japan 2005
第43回日本消化器集団検診学会大会

 会長 三木一正
(東邦大学医学部消化器内科)

    このたび第43回目を迎える日本消化器集団検診学会大会の会長を拝命いたし、責務の重さに身の引き締まる思いでおります。
    10月7日、8日を、消化器集団検診の将来を熱く語り合う2日間にすることが、私の務めと考え、努力する所存でございます。

    この半世紀に消化器診断学は急速に進歩し、ほとんどの消化器臓器を対象とするようになり、手法もX線検査だけでなく内視鏡、超音波検査、CT,MRI、血液や便による検体検査と多岐にわたるようになりました。また、わが国が経済的な繁栄をとげ、国民の健康への関心が高まり、検診の需要が急増したのも、この半世紀であります。
    私は消化器集団検診発展の半世紀を生きた幸せな世代の一人ですが、それゆえに私たちの世代は消化器集団検診の将来に、希望を持ちつつも人一倍不安を抱いております。
    私はその不安の源を3つに分類し、どうしたら解消できるかを考えてみました。

    第一に、新しい診断手法が検診現場に取り入れられていく一方、有効性の検証が追いついていません。臨床家は最新の診断手法を検診に応用していくことは得意ですが、その手法を疫学的に評価するのは不得手であります。一つの検診手法の有効性を証明するには長い時間と多大な労力を要します。一人の研究者、個々の施設の手に負える仕事ではありません。臨床家と疫学者が施設を超えて協力し、検診手法の有効性を評価できるような研究計画をつくらなくてはならないと思います。

    第二に日本人のライフスタイルが多様化し、地域、職域といった集団検診だけでは、対象者をカバーできなくなっています。集団検診の基盤が揺らぎ、検診が個別化に向かっている今日、実施側の事情だけでなく、より受診者の立場に立った多様な検診プランを考えなくてはならないと思います。

    第三に、右肩上がりの経済成長が期待できなくなり、検診の経済性が無視できなくなりました。税収、企業収益、個人所得が減少している今日、より効率のよい、効果的な検診が求められています。

    今回の大会では、消化器集団検診の各分野をリードしている専門家の方々のご協力をいただきながら、この3つの視点から主題案を検討いたしました。必ずや消化器集団検診の現在、そして将来を考える有意義な2日間になることと思います。
    会員各位におかれましては、ぜひふるってご参加いただきたくお願い申しあげます。