W13 エビデンスに基づく門脈圧亢進症(食道静脈瘤,脳症,腹水)治療戦略
國分茂博, 村島直哉


肝硬変症では、黄疸を除く消化管静脈瘤・脾機能亢進,腹水・肝性脳症は門脈圧亢進症との関連が強く、肝細胞癌の治療適応に関しても門脈血行動態は欠かせない要因となる。一方、門脈圧亢進症を容易に惹起する門脈血栓の指摘は近年超音波ドップラーの普及から容易になり、NOなどの血管作動物質の動態からも肝疾患と門脈圧亢進症との関連は、解明されつつある。かような状況下で従来のEIS・EVL,普及しつつあるBRTO・PSE,適応を絞る必要性の高い難治性腹水に対するTIPS・Denverシャントや脳症に対するBRTO・門脈分流術,いずれの領域にも関与する門脈血栓溶解療法(AT-III やWarfarin),門脈圧低下のみならず肝線維化抑制にも期待されるARB,肝腎症候群に対するTerlipressinなど新たな方法を含め、肝硬変を中心としたEvidenceに基づく門脈圧亢進症の治療法について提示戴きたい。