慢性膵炎、急性膵炎経過後、膵切除後は消化酵素を合成分泌する膵外分泌腺や糖代謝のキーホルモンであるインスリン、グルカゴンを合成分泌するラ島が傷害された、あるいは量的に減少した状況にある。また膵外科手術を伴うときは消化吸収の場である十二指腸、小腸が消化管再建によりその環境を変えている。一方、膵炎症例では急性炎症を予防するための脂肪制限食、糖尿病に対する食事制限が行われる。さらに炎症、膵液漏出による膵のう胞等のための長期的な経口摂取の停止、静脈からの栄養補給に依存しており、低栄養状態を招くことがある。栄養学的に利点が多いとされる経管栄養は煩雑さからあまり普及していない。以上のことを踏まえて患者のQOLを維持するための良好な栄養状態を目標とした診療が望まれる。膵障害で見られる栄養欠乏、とくに罹病が長期となり表出する栄養素不足の問題、臨床的に簡単に実施可能な栄養評価法、制限食ではなくサプリメントを含めた積極的な補充療法についての発表を期待する。 |
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