S14:分化型胃がんと未分化型胃がんの検診を考える
司会/渋谷大助 齋藤洋子


胃癌は、腸上皮化生粘膜から発生する分化型胃癌と胃固有粘膜から発生する未分化型胃癌に大別されている(中村の分類)。胃がん検診の方法として間接X線法(以下X線法)が中心に用いられており、分化型、未分化型満遍なく発見しているが、内視鏡的治療に適した胃癌に対する感度が低いとの指摘もある。一方、胃粘膜の萎縮の程度を測定し、胃癌のハイリスクグループをスクリーニングしようとする血清ペプシノゲン法(以下PG法)は分化型早期胃癌の発見には優れた成績を示しているが、PG法陰性進行癌の存在が指摘されている。検診の精度は感度と特異度が指標とされているが、2つはトレード・オフの関係にあり各々が100%ということは不可能である。検診の究極的な目的は死亡率の低下であり、放置されれば死に至る可能性のある胃癌患者をいかに効率良く受診者から要精検者として拾い上げるかが課題となる。胃がんの内視鏡治療が一般的になった現在、分化型胃がんと未分化型胃がんの検診をX線法、PG法の特性を生かしながら考えていきたい。

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