PD10

消化器疾患と微量元素
(消化吸収学会・消化器病学会 合同)


司  会 荒川 泰行 日本大学第3内科

高木 洋治

大阪大学保健学科

 多くの消化器疾患で色々な微量元素の異常が引起こされる事が、また逆に色々な微量元素の異常が種々の消化器疾患の病因・病態に関与する事が明らかになってきた。クローン病や短腸症候群では亜鉛、銅、セレン、クロム、モリブデンの欠乏症の起こる事が報告され、また慢性肝炎や肝硬変でも亜鉛、鉄、銅、マンガンの異常の起こる事が知られるようになってきた。一方、亜鉛吸収障害が腸性肢端皮膚炎や味覚障害に深く関与し、また銅の代謝異常であるウイルソン病やメンケス病では遺伝子レベルでの異常が解明されてきている。このように消化器疾患と微量元素とは深く関与しているが、一般臨床家には必ずしも十分に認識されてはいないのが実情と思われる。ここでは、今後の研究と臨床に役立ててもらうべく、現在までに解明されている点や問題を基礎から臨床まで幅広く検討したい。