梅谷 由美 京都大附属病院・看護部

肝移植におけるレシピエント移植コーディネーターの役割

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抄録

わが国では,1989年に初の生体部分肝臓移植が施行され,これまで約8000例以上の肝臓移植が施行された.2004年1月には保険収載となり,重症肝臓病の治療として社会的にも確立されつつある.日本移植学会コーディネーター委員会の“レシピエント移植コーディネーター(Recipient Transplant Coordinator:以下RTC)の理念と教育”の前文で,「臓器移植医療はドナーとレシピエントの存在によって成立するという際立った特殊性を有するものである.このため高い医療倫理が求められ~中略~,客観性と透明性を確保するために,公平・公正で検証可能な移植医療の確立と遂行を支える存在としてRTCが不可欠である.」と述べている.また臓器移植医療は多職種が関わるチーム医療であり,RTCの主な役割は「継続的ケア」と「チーム間調整」である.生体肝移植の場合には,生体ドナーのケアも行い,レシピエント・ドナーとその家族の心理社会的評価や意思決定支援を行う.脳死肝移植の場合には,登録申請から移植発生時の対応も含め,いずれの場合も,移植前から退院後も医療チームと患者・家族を繋ぐ役割として業務は多岐に亘る.2011年に日本移植学会RTC認定制度が開始され,現在,全臓器で166名が認定された.2012年4月には臓器移植後患者指導管理料が算定可能となり,その役割が益々重要である.当院では1990年に生体肝移植が開始され,2016年3月末まで脳死移植51例を含む累計1787例(小児872例,成人915例)が実施された.RTCは1994年に看護師が診療科事務の雇用体制で業務に就いたのを契機に,2008年看護部所属となり,現在,肝移植では2名の認定RTC(専従)が小児と成人症例に分担し対応している.多職種による周術期カンファレンスやチーム移植医療検討会を定期的に開催し,チーム医療の意義や有用性が徐々に浸透している.その中でRTCは,患者や家族を含めた包括的支援,多種職連携によるチーム医療を円滑に行うための中心的役割を担っている.今回,当院での肝移植におけるRTCの役割とチーム医療について報告する.

  • 索引用語1:レシピエント移植コーディネーター
  • 索引用語2:移植チーム医療