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メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月14日 (土)  14:00 - 17:00   第7会場:福岡国際会議場 409+410
MS2-1
食道狭窄例の終末期QOL維持を目的とした,軽度・頻回の内視鏡的拡張術について
濱田 和1, 小豆澤 定史1, 伊藤 透1
1金沢医大・消化器内視鏡学
【緒言】経口摂取困難例に対する栄養路確保は在宅医療における課題の1つである.終末期の食道狭窄例では胃瘻造設等も検討されるが,経口摂取改善への寄与に乏しくQOLは大きく損なわれる.食道狭窄に軽度の内視鏡的拡張術(以後ED)を頻回に行う事で経口摂取を維持し終末期QOL維持に貢献し得た症例について報告し,同対処の有用性について検討する.【症例】71歳,男性.嚥下困難を主訴に2013年11月中旬に当科受診し,上部消化管内視鏡検査(以後EGD)にて食道上端に扁平上皮癌を認めた.化学放射線療法にて一旦消失するも局所再発を認め,外科的切除を検討したが本人の強い希望にて2014年9月中旬に内視鏡的切除・焼灼を行うに留めた.以後明らかな局所再発は認めなかったが,治療後の良性狭窄による嚥下困難を起こし2015年1月中旬にEDを施行した.数回のEDで概ね安定しその後は2週間に1回のEGD(GIF-Q260J:9.9mm)のみで容易に拡張されたが,2016年1月頃から同スコープ通過も徐々に困難となった.ED(硬性ブジー:13mm)を幾度に渡り行うも約2週間で再狭窄を起こし,EDによる長期的狭窄解除は困難であった.また2015年7月頃から指摘されていた肺腫瘍について加療を拒否され,緩和医療を進める事とした.栄養路確保のため胃瘻造設等を勧めるも経口摂取への強い要望があり,充分なインフォームド・コンセント(以後IC)を行った上で2016年3月中旬から軽度ED(硬性ブジー:10mm)を1週間に1回行う事でQOLを保つ方針とした.肺腫瘍による呼吸不全にて同年7月上旬朝に自宅で永眠されたが前日夕まで経口摂取が可能であった.【考察】過度の拡張は食道穿孔等の合併症を起こしやすいとされている.また本症例は長期的予後の見込みが乏しい状況であり,軽度・頻回のEDにて短・中期的な現状維持を図った.約4か月後に永眠される前日まで重篤な合併症を伴う事なく経口摂取を維持できており,QOL向上に大きく貢献した.適応の有無を熟考し充分なICを行った上であれば,軽度・頻回のEDは選択し得る対処であると考えられた.
索引用語 1:食道狭窄
索引用語 2:内視鏡的拡張術
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