24日 14:30-17:00 第4会場

公募

パネルディスカッション 9

H. pylori 除菌療法—胃癌死亡を減少させるための戦略を巡って
司会 一瀬雅夫 和歌山県立医大・2内科
  上村直実 国立国際医療研究センター国府台病院
H.pylori除菌療法の保険適応が拡大され,懸案であった慢性胃炎が対象として認められるに至った.この背景には超高齢社会を迎えた我が国が直面する医療上の課題であるがん対策の中でも,重要な対象の一つである胃癌の主たる原因がH.pylori感染に有ることが明確になった事実が存在する.今回の保険適応拡大はH.pylori感染者全てを対象としたものであり,H.pyloriを駆逐する事で将来的に胃癌を根絶せんとする国を挙げての堅い決意の表れと評する事が出来よう.一方,胃癌の発生は環境因子と宿主因子の相互作用に由来する典型的な多段階発癌,あるいは慢性炎症を基盤とする発癌として理解されているものの,H.pyloriによる発癌機構の詳細は不明な状態にある.特に動物実験,観察研究,介入研究を通じてH.pylori関連胃炎の病期進行に伴って除菌による胃癌発生抑制効果が限定的になることが知られているが,このような点を踏まえた上で,原因療法である除菌療法という武器を手にした今,これを如何に的確かつ効率良く使いこなして胃癌発生抑制の実効を上げるかが問われており,また,国際的にもこの“壮大なるトライアル”とも言うべき決定が関心を集めている所である.創意あふれる多数の御演題を御待ち申し上げる.

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