会長挨拶

第17回日本肝臓学会大会 会長 青蛛@ 豊

第17回日本肝臓学会大会
会長 青蛛@ 豊
新潟大大学院・消化器内科学

この度JDDW2013の一環として、第17回日本肝臓学会大会を、2013年10月9日(水)、10日(木)の2日間、東京都で開催させて頂くことになりました。このような機会を与えていただきました日本肝臓学会関係各位の皆様に心から感謝申し上げますとともに、大変光栄に存じます。

今回の肝臓学会大会のテーマは「肝臓病診療の新たなる創造へむけて」と致しました。肝臓病学の進歩は目覚ましく、今日まで蓄積された肝臓学の基礎的、臨床的な研究の成果が、肝臓病に悩む方々に多くの恩恵をもたらしてきました。特にウイルス肝炎、並びに関連する肝細胞癌においては、その撲滅を語ることにますます現実味が増してきたように感じられます。しかし、その一方で、B型肝炎ウイルス再活性化や高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療等、残された問題も顕在化してきました。さらに生活環境の欧米化に伴って、生活習慣病としての肝臓病が重要な課題となっています。このような状況に対応するため、今日まで蓄積された知識や技術を継承した上で、さらに新たな基軸を築くことが、我々に求められていると考えます。

上記しましたコンセプトの基、2題の特別講演をいただきます。1題目は、神戸先端医療センター長、京都大学名誉教授の鍋島陽一先生より、老化関連遺伝子Klothoに関するご講演をお願いしました。先生は新潟大学医学部では私の1年先輩にあたり、大学院在学中には生化学教室で直接ご指導いただきました。今後臨床の場で解決しなければならない各種肝疾患と老化の問題を解く鍵となるお話をいただければと思っております。2題目として、Dexi Liu 先生(University of Georgia, USA)からは遺伝子治療のご講演をお願いし、また、インターナショナルセッションにもコメンテーターとして参加していただく予定です。夢の治療であった遺伝子導入がすぐそこまできている事を感じていただけると思います。

大会の主題として、シンポジウムを5題、パネルデスカッション4題、ワークショップ4題を企画致しました。現在増加中のNASHならびに肝がん関連と、いまだ未解決の免疫学的異常を基盤とした肝疾患の問題を取り上げました。また、治療法の進歩がめざましい肝炎ウイルスの領域におきましても、前述のごとく、打開に向けて取り組むべき問題が残されております。肝臓病診療のさらなる発展を目指し、これらの課題につきご討議いただければと思います。

特別企画としては、"腹腔鏡・肝生検の現状と再評価−次世代への技術継承とその問題点"を取り上げさせていただきました。本邦においては、ウイルス性肝疾患ならびに肝癌の診断は腹腔鏡下肝生検を基本とした病理形態学的検索を基盤として発展してきました。しかしながら、molecular biologyや画像診断の発達とともに、いくつかのsurrogate markerに置き換わっているのが現状であると思います。腹腔鏡・肝生検検査の過去と現在の状況を把握し、今後の技術移転の方向性を総括的に討議していただきたいと思います。

以上、現在我々が直面する種々の課題を取り上げ、今後の肝臓病診療の指針となりうる大会を指向して参ります。会員の皆様方からのご指導ご鞭撻をお願いしますとともに、多くの方々のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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