会長挨拶

DDW-Japan 2004
第8回日本肝臓学会大会

会長  清澤 研道(信州大学医学部内科)
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このたび福岡で開催されるDDW-Japan 2004において、第8回肝臓学会大会の会長を仰せつかり、大変光栄に存じます。演題選定委員会の指導を受けながら、また会員の皆さん方のご支援により、いよいよ学会開催へとこぎつける事ができました。これも関係各位のご協力、ご指導の賜物であり感謝申し上げる次第です。

ここ数年のわが国における肝疾患に対する診断、治療法の進歩は著しいものがあり、肝臓病診療の現場には大きな変化が見られます。特に今年は保険診療による生体肝移植療法のウイルス性肝硬変、肝癌等への適応拡大と年齢制限の撤廃、肝癌に対するラジオ波焼却療法が可能となりました。また、C型・B型慢性肝炎に対する抗ウィルス治療法も新しい局面を迎えています。このような大きなうねりの中での学会開催は意味があるものと思われます。

シンポジウムは2テーマを取り上げました。第1は、interferon・ribavirin併用療法後の経過からみた評価です。慢性C型肝炎に対するインターフェロンとリバビリン併用療法が行なわれるようになり3年が経とうとしています。この間インターフェロン単独の長期治療、ペグインターフェロン単独治療が導入されました。また年内にはペグインターフェロンとリバビリン併用療法が可能になります。この時期に抗ウイルス療法の評価をして今後の対応を考える時期と思います。第2は、肝細胞癌の局所療法:ラジオ波 vs. 肝切除です。肝癌の治療にラジオ波焼却療法がこの4月から保険診療可能となり一般診療となりつつあります。肝癌治療の方向性が大きく変わろうとしているこの時に、その評価を外科手術との対比で考えたいと思います。

パネルディスカッションでは4テーマを取り上げました。B型肝炎に対する新しい治療戦略、わが国におけるE型肝炎の実態、自己免疫性肝炎の長期経過と治療、生体肝移植ドナーをめぐる諸問題です。ワークショップでは肝癌のステージングシステム、移植後ウイルス肝炎、非代償性肝硬変の治療法、薬物性肝障害などを主題としてとりあげました。いずれも最近の肝臓病診療に欠かすことの出来ない重要な問題をはらんでいます。

症例報告のなかから示唆に富むものを選びコメンテーターをつけた討論会も企画しました。また多数の一般演題がポスター発表されます。大いにディスカッションされますことを期待いたします。

「個性と連携」が今回のDDW-Japan 2004のキャッチフレーズであります。肝臓学会の個性を十分出しつつ同時に開催されます他学会との連携のもと肝臓病に関する臨床研究の向上と肝臓病診療のレベルアップができることを願うものであります。

福岡での学会が今後の肝臓病診療に役立てばこの上ない喜びであり、また思い出の学会になりますれば望外の喜びであります。